叢書・ウニベルシタス 1143
エクリチュールと差異〈改訳版〉

四六判 / 654ページ / 上製 / 価格 5,940円 (消費税 540円) 
ISBN978-4-588-01143-6 C1310 [2022年05月 刊行]

内容紹介

1960年代フランスの知的沸騰のなかで生まれ、痕跡、差延、脱構築などのデリダ的概念を展開した本書は、構造主義以後の思想界を決定づける著作となった。ルーセ、フーコー、ジャベス、レヴィナス、アルトー、フロイト、バタイユ、レヴィ=ストロースらの読解を通じて、主体と他者、言語と表象、存在と歴史をめぐる哲学的思考を根底から書き換えた名著。全面的に訳文を改訂、さらに読みやすくなった新版。

著訳者プロフィール

J.デリダ(デリダ ジャック)

(Jacques Derrida)
1930-2004年。アルジェリア生まれのユダヤ系哲学者。パリの高等師範学校で哲学を専攻。同校の哲学教授を経て、社会科学高等研究院教授を務める。西洋形而上学におけるロゴス中心主義の脱構築を提唱し、構造主義以降の人文社会科学の広範な領域──文学・芸術理論、言語論、政治・法哲学、歴史学、建築論ほか──に多大な影響をもたらした。邦訳書に『哲学の余白』『散種』『有限責任会社』『絵画における真理』『法の力』『ユリシーズ グラモフォン』『シニェポンジュ』『アーカイヴの病』(以上、法政大学出版局)、『グラマトロジーについて』(現代思潮新社)、『哲学への権利』『フッサール哲学における発生の問題』(みすず書房)、『アポリア』(人文書院)、『哲学のナショナリズム』(岩波書店)、『声と現象』『死を与える』(筑摩書房)、『精神分析の抵抗』(青土社)、『マルクスの亡霊たち』(藤原書店)、『条件なき大学』(月曜社)、『ジャック・デリダ講義録』シリーズ(白水社)ほか多数。

谷口 博史(タニグチ ヒロシ)

1962年長崎県生まれ。一橋大学法学部卒業。東京都立大学大学院人文科学研究科博士課程中退。現在、中央大学法学部准教授。著書に『フランス現代作家と絵画』(共著、水声社)、訳書にラクー=ラバルト『虚構の音楽』『経験としての詩』(未來社)、ブランショ『望みのときに』(未來社)、同『私についてこなかった男』(書肆心水)、レヴィナス『われわれのあいだで』『歴史の不測』、『ベルクソン講義録1・2』(共訳、法政大学出版局)、ジャン=ジャック・クルティーヌ編『男らしさの歴史』3(共訳、藤原書店)。

※上記内容は本書刊行時のものです。

目次

I 力と意味作用

II コギトと狂気の歴史

III エドモン・ジャベスと書物の問い

IV 暴力と形而上学──エマニュエル・レヴィナスの思想についての試論

V 「発生と構造」と現象学

VI 吹きこまれ掠め取られる言葉

VII フロイトとエクリチュールの舞台

VIII 残酷演劇と再現前化の閉鎖

IX 限定経済から一般経済へ──留保なきヘーゲル主義

X 人間科学の言説における構造、記号、遊び

XI 省略

初出一覧
訳者あとがき
人名索引