叢書・ウニベルシタス 1154
ラーラ
愛と死の狭間に

四六判 / 456ページ / 上製 / 価格 2,970円 (消費税 270円) 
ISBN978-4-588-01154-2 C1398 [2023年04月 刊行]

内容紹介

スペイン最初のジャーナリストともいわれる急進的自由主義者ラーラ(1809–1837)。自国の政治的・文化的後進性を激烈な風刺で批判するも、政治に挫折し不倫の恋にも敗れ、27歳でピストル自殺したその生はロマン主義的近代の象徴として、のちのスペイン文学を決定づけた。代表的記事や戯曲作品を初邦訳し、充実の文学史的解説と訳注を付した独自編集版。執行草舟氏によるまえがき・推薦付。

著訳者プロフィール

マリアーノ・ホセ・デ・ラーラ(ラーラ マリアーノ・ホセ・デ)

マリアーノ・ホセ・デ・ラーラ
(Mariano José de Larra)
1809-1837。十九世紀スペイン最初期のジャーナリスト、風刺作家、政治家。親仏派で、ホセ・ボナパルト一世の軍医の父をもつ。スペイン独立戦争の渦中に生まれ、幼少期をボルドー、パリで過ごす。弱冠19歳で詩作を発表、『日刊 風刺家ドゥエンデ』誌を刊行。革命、自由主義の急進的な理想のもと、フィガロなどの執筆名を使い、主に新聞記事を通してスペイン国情を改善しようと、ペンの剣で戦った。不安定な政治情勢に翻弄され、急進派自由主義を標榜する立場にもかかわらず反対の穏健派勢力を支持する形となり離党、政界での活路を断たれる。人妻ドローレスとの恋にも破れ、27歳にしてピストル自殺した。国を憂える98年世代を始め、後のスペイン思想・哲学界に大きな影響を与え続けている。

フアン・ルイス・アルボルグ(アルボルグ フアン・ルイス)

フアン・ルイス・アルボルグ
(Juan Luis Alborg)
1914-2010。スペインの文芸評論家、歴史家。マドリッド大学で哲学・文学の博士号を取得。『スペイン文学の歴史』全五巻が代表作。フルブライト・プログラムにより渡米。メネンデス・イ・ペラーヨ国民文学賞、ルイス・ガーナー賞受賞。

安倍 三﨑(アベ ミサキ)

安倍三﨑 1980年生まれ。東京外国語大学スペイン語学科卒業。在学中、牛島信明に師事。2002年、サラマンカ大学外国人コースにてスペイン語認定証最上級D.E.L.E. superior取得。早稲田大学にて学芸員課程修了。現在、戸嶋靖昌記念館 主席学芸員。スペイン・ラテンアメリカ美術史研究会所属。駐日スペイン大使館、スペイン国営セルバンテス文化センター、サラマンカ大学日西文化センターにて、洋画家 戸嶋靖昌等の展覧会企画、運営。訳書に『ベラスケスのキリスト』(ミゲール・デ・ウナムーノ著、監訳執行草舟、法政大学出版局)ほか。

※上記内容は本書刊行時のものです。

目次

訳者にかわって  【執行草舟】

第一章 ラーラとは──生涯と作品 
    フアン・ルイス・アルボルグによる解説

ラーラの生涯
 人物略伝

ラーラの作品
 ラーラの記事の分類
 ラーラの政治的葛藤
 ラーラのロマン主義
 ラーラのイデオロギー
 ジャーナリスト、ラーラ
 ラーラの文学的源泉
 作家ラーラ
 劇作家ラーラ
 劇『マシーアス』
 小説家としてのラーラ
 詩人、ラーラ

訳者コラム 大地の人間

略年譜

第二章 ジャーナリズム──記事セレクション

明日またどうぞ
間違った早婚
カフェ
古き良きスペイン人
マドリッドの生活
新しい食堂
スペインの修道院──そこに隠された芸術的価値
闘 牛

訳者コラム 二人の若きウェルテル
  ラーラを再読しながら──ミゲール・デ・ウナムーノ

第三章 ロマン主義のあらわれ
    戯曲『マシーアス』──四幕構成の韻文歴史劇

 二つの言葉
 第一幕
 第二幕
 第三幕
 第四幕

詩人から詩人へ
 若き文学者マリアーノ・ホセ・デ・ラーラの不幸を偲んで 
 ホセ・ソリーリャによる詩

訳 注
参考文献

ラーラという人──訳者あとがき

書評掲載

「週刊読書人」(2023年06月30日号/菊池信彦氏・評)に紹介されました。

「図書新聞」(2023年09月23日号/鼓宗氏・評)に紹介されました。

関連書籍

『ベラスケスのキリスト』
M.デ・ウナムーノ:著