叢書・ウニベルシタス 190
神の存在論的証明 〈新装版〉
近世におけるその問題と歴史

四六判 / 456ページ / 上製 / 価格 4,950円 (消費税 450円) 
ISBN978-4-588-09952-6 C1310 [2012年07月 刊行]

内容紹介

デカルトから後期ドイツ観念論にいたる近世哲学の歴史を、デカルトによって革新された《神の存在の存在論的証明》の展開という全く新たな視点から捉え直し、近代のいわゆる主観性の哲学の真の本質を解明するとともに、従来の近世哲学理解の根底的見直しを迫る。

著訳者プロフィール

D.ヘンリッヒ(ヘンリッヒ ディーター)

(Dieter Henrich)
1927年マールブルク生まれ。現代ドイツを代表する哲学者。マールブルク、フランクフルト両大学で学び、1950年ハイデルベルク大学哲学博士、56年同大学で大学教授資格を取得。その後、ベルリン自由大学、ハイデルベルク大学の正教授を経て、81年ミュンヘン大学正教授に就任。カント、フィヒテ、ヘーゲルなどいわゆるドイツ観念論哲学の研究に独自の領野を拓く。国際ヘーゲル学会の会長をつとめ、1970、79年には来日し各地で講演を行なっている。

※上記内容は本書刊行時のものです。

目次

序文

第一部 近世の形而上学における存在神学
序論
第1章 存在論的論証の根拠づけ
A デカルトとデカルト主義者たち
1 デカルト
2 マールブランシュとスピノザ
B イギリスのプラトン主義とライプニッツ学派
1 モアとカドワース
2 ライプニッツ
3 クリスチャン・ヴォルフ
4 バウムガルテン
5 メンデルスゾーン

第2章 存在論的論証に対する批判
序論
A 十七世紀における批判
1 ガッサンディ
2 ユエ、レルミニエ、パーカー
B 十八世紀における批判
1 ウェーレンフェルス
2 ジャクロとフランスの諸雑誌
3 モスハイム
4 リュディガーとクルージウス
5 ベーリング
6 ヒューム

第3章 体系的概観

第二部 カントの存在神学批判
序論
A カントの主要著作における存在神学批判
B 合理的神学の体系と批判
C カントの前批判期の諸著作における批判

第三部 思弁的観念論における存在神学
A ヘーゲルによる存在神学の革新
1 カント以後の存在神学の状況
2 カントの存在論的論証批判とヘーゲルとの関係
3 ヘーゲルの『論理学』における存在論的論証
B 後期シェリング哲学における概念と現存在
1 シェリングと存在神学の歴史
2 シェリングの論理的異論
3 必然的な存在と積極哲学の端緒
C Ch・H・ヴァイセと存在神学の終焉
1 論理的なものの存在様式
2 ヴァイセの論理的異論
3 思惟必然性の概念
4 思惟必然性の現存在

結び 現代における存在神学の問題

 原註
 訳註
 解説 (加藤尚武)
 訳者あとがき
 参考文献/引用文献および引用略号