あま世へ
沖縄戦後史の自立にむけて

A5判 / 280ページ / 並製 / 価格 2,970円 (消費税 270円) 
ISBN978-4-588-32708-7 C0021 [2017年03月 刊行]

内容紹介

沖縄の歴史を知るということは、平和だと思い続けてきた日本の自画像を問うことであり、いま繰り広げられている暴力を前に自らの生き方や歴史認識にむきあう態度の問題である。そこから沖縄のめざす未来「あま世」が見えてくる。新川明、川満信一、鹿野政直、松島朝義のインタビュー、講演、座談会も所収。

著訳者プロフィール

森 宣雄(モリ ヨシオ)

1968年横浜市生まれ。琉球大学大学院法学研究科修士課程、大阪大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。聖トマス大学人間文化共生学部教員を経て、現在、同志社大学〈奄美‐沖縄‐琉球〉研究センター学外研究員、西宮公同教会・関西神学塾講師。専攻は沖縄・東アジア近現代史。著書に『地のなかの革命――沖縄戦後史における存在の解放』(現代企画室、2010年)、『沖縄戦後民衆史――ガマから辺野古まで』(岩波書店、2016年)がある。

冨山 一郎(トミヤマ イチロウ)

1957年京都市生まれ。京都大学大学院農学研究科博士課程単位取得退学。博士(農学)。神戸市外国語大学・大阪大学大学院文学研究科教員を経て、現在、同志社大学グローバル・スタディーズ研究科教授。専攻は沖縄近現代史。著書に『近代日本社会と「沖縄人」』(日本経済評論社、1990年)、『暴力の予感』(岩波書店、2002年)、『増補 戦場の記憶』(日本経済評論社、2006年)、『流着の思想』(インパクト出版会、2013年)がある。

戸邉 秀明(トベ ヒデアキ)

1974年千葉県生まれ。早稲田大学大学院文学研究科博士後期課程中退。早稲田大学第一文学部助手、日本学術振興会特別研究員を経て、現在、東京経済大学経済学部准教授。専攻は、復帰運動史を中心とする沖縄近現代史、史学思想史。近年の主な論文に、「沖縄戦の記憶が今日によびかけるもの」(成田龍一・吉田裕編『記憶と認識の中のアジア・太平洋戦争』岩波書店、2015年)、「マルクス主義と戦後日本史学」(『岩波講座 日本歴史22 歴史学の現在』岩波書店、2016年)などがある。

※上記内容は本書刊行時のものです。

目次

 戦後沖縄の地下水脈  森宣雄

第I部 沖縄の党
 ポスト「島ぐるみ闘争」の思想戦  川満信一
 「沖縄の党」とあま世の連帯  新川明
 戦後の沖縄戦を生きぬく  松島朝義

第II部 帝国へ/帝国から
 国場幸太郎における民族主義と「島」  冨山一郎
 沖縄史の日本史からの自立──傷みの歴史から「あま世」の希望  鹿野政直

第III部 座談会 歴史の自立をめぐって
 鹿野政直/新川明/川満信一/松島朝義/冨山一郎/森宣雄/戸邉秀明

あとがき──歴史における態度の問題  冨山一郎・戸邉秀明
戦後沖縄・歴史認識アピール

【執筆者略歴】
川満信一(かわみつ・しんいち)
1932年沖縄・宮古島生まれ。1956年、琉球大学文理学部国文科在学時に文芸同人誌『琉大文学』に参加。1956年、同大卒業後、沖縄タイムス社に入社。以後、『新沖縄文学』編集長等を歴任。著書に『川満信一詩集1953-1972』(オリジナル企画、1978年)、『沖縄・根からの問い――共生への渇望』(泰流社、1978年)、『沖縄・自立と共生の思想――「未来の縄文」へ架ける橋』(海風社、1987年)、『沖縄発――復帰運動から40年』(世界書院、2010年)など多数。

新川 明(あらかわ・あきら)
1931年沖縄生まれ。琉球大学文理学部国文科在学時に文芸同人誌『琉大文学』に参加。1955年、同大を中退し沖縄タイムス社に入社。同社八重山支局長、『新沖縄文学』編集長、『沖縄大百科事典』刊行事務局長、編集局長、社長、会長を経て1995年退任。著書に『反国家の兇区』(現代評論社、1971年。社会評論社より1996年に増補新版)、『新南島風土記』(大和書房、1978年。毎日出版文化賞受賞。のち朝日文庫、岩波現代文庫)、『詩画集 日本が見える』(共著、築地書館、1983年)など多数。

松島朝義(まつしま・ちょうぎ)
1947年沖縄生まれ。1966年、国費自費留学制度で中央大学法学部入学、在学中に多数の沖縄論を執筆・発表。1973年卒業。翌年より那覇市首里で作陶を始め、沖縄県工芸公募展最優秀賞(1985年)、西日本陶芸美術展大賞(2000年)、沖縄タイムス芸術選賞大賞(2007年)など受賞多数。2003年より日本工芸会正会員に選出。陶芸論の共著書に『沖縄美術全集I 陶芸』(沖縄タイムス社、1989年)、沖縄県教育委員会編・発行『沖縄の陶器類関係資料調査報告書』2003年などがある。

鹿野政直(かの・まさなお)
1931年大阪府生まれ。早稲田大学文学部卒業、同大大学院を経て、1958-99年、早稲田大学文学部教員。現在、同大名誉教授。専攻は日本近現代思想史。著書に『鹿野政直思想史論集』全7巻(岩波書店、2007-08年)など多数。近年の沖縄関係の著作に、『沖縄の戦後思想を考える』(岩波書店、2011年)、「阿波根昌鴻――「命どぅ宝」への闘い」(テッサ・モーリス-スズキ編『ひとびとの精神史2 朝鮮の戦争 1950年代』岩波書店、2015年)などがある。

書評掲載

「朝日新聞」(2017年4月30日付/齋藤純一氏・評)にて紹介されました。

「出版ニュース」(2017年5月中・下旬号)にて紹介されました。

「読書人」(2017年5月19日号/大野光明氏・評)にて紹介されました。

「沖縄タイムス」(2017年6月10日付/仲宗根勇氏・評)にて紹介されました。

「月刊社会民主」(2017年8月号/岡田真紀氏・評)にて紹介されました。

「琉球新報」(2018年5月20日付/鳥山淳氏・評)にて紹介されました。

「寄せ場」(第29号2018年3月25日/松沢哲成氏・評)にて紹介されました。