ハリエット・タブマン
彼女の言葉でたどる生涯

四六判 / 294ページ / 並製 / 価格 3,080円 (消費税 280円) 
ISBN978-4-588-36419-8 C0023 [2020年04月 刊行]

内容紹介

奴隷制が敷かれていた19世紀のアメリカで、命の危険をかえりみず多くの黒人奴隷を南部から救い出した、「黒人のモーセ」ことハリエット・タブマンの伝記。逃亡奴隷を救出する秘密組織「地下鉄道」の車掌として指揮をとり、南北戦争時は北軍のスパイとして活躍し、晩年には女性参政権運動に身を投じた。分断が叫ばれる今こそ目を向けたい、連帯の力を信じ自由を求めて生涯闘い続けた、ひとりの女性の姿を描く。

著訳者プロフィール

篠森 ゆりこ(シノモリ ユリコ)

翻訳家。主な訳書に、イーユン・リー『千年の祈り』(新潮社)、『さすらう者たち』(河出書房新社)、クリス・アンダーソン『ロングテール』(早川書房)、マリリン・ロビンソン『ハウスキーピング』(河出書房新社)ほか。ハリエット・タブマンの長年のファンでもある。

※上記内容は本書刊行時のものです。

目次

家系図/地図

はじめに

第1章 奴隷として育った子供時代
黒人少女アラミンタの誕生とルーツ/鞭打たれた子供時代/当時の奴隷の暮らし/禁じられた読み書きの勉強

第2章 男並みの肉体労働と幻視
頭の負傷でナルコレプシーに/キリスト教の信仰/木材を運んで得た体力と貯金と人脈/いつ売られるかわからない恐怖/結婚、そして衝撃の事実

第3章 自由の地を目指して
ついに逃亡を決意/一人きりで逃亡を決行/初めて味わう自由な空気と孤独感

第4章 地下鉄道の車掌としての使命
最初に救い出したのは姪だった/夫と別れて踏み出した過酷な道/兄弟三人を救い出す/監視が強まりますます危険な状況に/危機一髪のときに見せた機転

第5章 残された最後の家族の救出作戦
妹レイチェルを救い出すまでは/大仕事の成功で高まった名声/裏切られたドーヴァー・エイト/年老いた両親の救出/白人の警戒に阻まれ救出を中断

第6章 ジョン・ブラウンとの出会いと語り手としての役割
語り手としての才能が開花/ハーパーズ・フェリー襲撃事件への関与/逃亡奴隷ナールを力ずくで奪い取る/妹の死、そして車掌としての最後の救出作戦/自由黒人の少女を「誘拐」

第7章 南北戦争でスパイとして活躍
開戦直後の行動/北軍への奉仕を決意/解放奴隷の世話と傷病兵士の看護/スパイとして本格的に活動/コムビー川襲撃作戦に参加/多くの奴隷を解放/襲撃作戦の後日談/優れた軍師タブマン

第8章 看護師としての奉仕
激しい戦闘の後方支援/フロリダで感染症を治療/終戦後も看護を継続

第9章 人種差別と貧困との格闘
暴力を受けて負傷/解放奴隷の支援と伝記の出版/困窮のうえに度重なる災難

第10章 黒人高齢者のホームを作る夢
社会運動と慈善活動/夢のための新たな借金/麻酔なしで頭の手術/ホームが開所し、ついに夢が実現/人生の幕引き

付記 地下鉄道という秘密組織
地下鉄道とは何か/キリスト友会とアイザック・T・ホッパー/地下鉄道で使われた隠語や暗号/伝説の車掌や駅長/無数の逃亡ルート/欠かせない黒人の援助

あとがき
図版出典
参考文献
人名索引

書評掲載

「北國新聞」(2020年6月27日付/藤井光氏・評)に紹介されました。

「北日本新聞」(2020年6月27日付/藤井光氏・評)に紹介されました。

「高知新聞」(2020年6月28日付/藤井光氏・評)に紹介されました。

「図書新聞」(2020年9月19日号/栩木玲子氏・評)に紹介されました。