楽しみと日々
壺中天書架記

四六判 / 878ページ / 上製 / 価格 7,700円 (消費税 700円) 
ISBN978-4-588-46025-8 C0090 [2024年06月 刊行]

内容紹介

「目新しいものばかり追う風潮はやはり読書の愉しみとは無縁のものだ」。プルースト、石川淳、澁澤龍彥、種村季弘、市河晴子、吉田健一、中村真一郎、矢野峰人、『ルバイヤート』……数々の鍾愛の書。再読できなければ本の意味はなく、精神の自由を守り、生きる喜びに出会う瞬間のために本を読み続ける。『失われた時を求めて』個人全訳刊行中の仏文学者にして、稀代の随筆家でもある著者の半世紀に及ぶ文筆の集大成。

著訳者プロフィール

高遠 弘美(タカトオ ヒロミ)

高遠弘美(タカトオ ヒロミ)
1952年長野県生まれ。早稲田大学大学院フランス文学専攻博士課程修了。明治大学名誉教授。著書に、『乳いろの花の庭から』『物語 パリの歴史』『七世竹本住大夫 限りなき藝の道』ほか。編著に、『矢野峰人著作集』『欧米の隅々 市河晴子紀行文集』。訳書に、プルースト『失われた時を求めて』、ロミ『突飛なるものの歴史』『悪食大全』『乳房の神話学』、レアージュ『完訳 Oの物語』、ベシュテル&カリエール『珍説愚説辞典』、ピション『プルーストへの扉』、『トゥーサン版 ルバイヤート』ほか。共著多数。

※上記内容は本書刊行時のものです。

目次

まえがき──ミクロポリスへの渡り橋

街区Ⅰ プルーストの花咲く街
プルーストと暮らす日々
『失われた時を求めて』の冒頭について
夜のパリ、夢のヴェネツィア
花咲けるアール・ヌーヴォーの庭で
フォーレとプルースト

街区Ⅱ 月光に照り映える街
書を読む人荷風、そして彼の人も亦
鏡花遊記──駒下駄と人魚
夢中往還──内田百閒『初稿 冥途』に寄せて
別席の閑談──石川淳讃
石川淳・伝奇作品決定版
梶井基次郎「桜の樹の下には」
私家版タルホ集のすすめ
澁澤龍彥に導かれて
退屈な天使の日常を離れて──種村季弘論
沙漠を変える一握りの砂──ボルヘス讃
月の詩人、高柳誠
成熟と孤独──須永朝彦『鉄幹と晶子』

街区Ⅲ 言の葉の調べ漂う街
太夫の語りありてこそ──竹本住大夫師に教えて頂いたこと
名人たる理由
竹本住大夫引退に寄せて
市河晴子に恋して
孤寂の境地に遊ぶ──薄田泣菫『独楽園』
失われた楽園の記憶──杉浦明平『カワハギの肝』
優雅と慎み──倉橋由美子『夢の浮橋』
憧れの水平生活──佐藤亜紀『外人術』
静寂と響き──吉田健一に教えられた詩の世界
遠望の先に──中村真一郎と私
若々しき老成──西條八十
いま西條八十を振り返る
在野の詩人・山内義雄を求めて
学匠詩人・矢野峰人
幸福なる少数者のために──矢野峰人讃

街区Ⅳ 親しき外国人街
称賛と同情──名訳詩集にみなぎる「愛」のかたち
ロミ『完全版 突飛なるものの歴史』
ロミ『乳房の神話学』
J・フェクサス『うんち大全』
D・ラティ『お風呂の歴史』
D・ノゲーズ『人生を完全にダメにするための11のレッスン』
P・レアージュ『完訳 Oの物語』
『トゥーサン版 ルバイヤート』をめぐって

街区Ⅴ 旅人宿が立ち並ぶ街
壺中の天を求めて
文化最前線
仏文学者の休日
日佛往還記繙讀

街区Ⅵ 雑踏往来の街
屋代高校時代の思い出
「調和」と「霊感」ということ──デューク・ジョーダン・トリオ東京公演を聴いて
ワインの肴に『耳袋』
あやかしのうつつまぼろし枕べの夢
穏やかでつよいまなざし──ブラッサイ
訓育と鞭打ちの換骨奪胎──マッコルラン『アリスの人生学校』
極私的幻想文学──江戸文藝・志怪・プルースト
「珍説・愚説」学入門
風呂とフランス人
草ひばりのうたひやまない午さがり
変わる夢──『仮面ライダー響鬼』に寄せて
我は如何にしてビデなるものを知りし乎
ポッチャリ礼讃
いま読みたい詩の本 三冊
「引用的人間」の記憶について

街区Ⅶ 小さな図書館の街
書評
鹿島茂『歴史の風 書物の帆』
F・グラウザー『狂気の王国』
森洋子『シャボン玉の図像学』
野崎歓『ジャン・ルノワール 越境する映画』『フランス小説の扉』
Ch・モルゲンシュテルン『絞首台の歌』
穂村弘+東直子『回転ドアは、順番に』
M・パージュ『ぼくはどうやってバカになったか』
森洋子『ブリューゲル探訪──民衆文化のエネルギー』
入沢康夫『かりのそらね』
岩本素白『素湯のような話──お菓子に散歩に骨董屋』
堀江敏幸『その姿の消し方』
A・コンパニョンほか『プルーストと過ごす夏』
J・チャプスキ『収容所のプルースト』
鹿島茂『カサノヴァ』
川本直『ジュリアン・バトラーの真実の生涯』
左川ちか『左川ちか全集』
安藤元雄『惠以子抄』
ペ・スア『遠きにありて、ウルは遅れるだろう』
粟村政昭『ジャズ・レコード・ブック』
中野宏昭『ジャズはかつてジャズであつた』

街区Ⅷ 遊園地のある街
詩作
「四角い動物園」(くらげ、かもめ、河童、うさぎ、さる、うし、貘、すずむし)/「犬の思案」/「フェルメール」/「をんな 一」/「をんな 二」/「をんな 三 抒情句風に」/「をんな 四」/「こひうた」/「ほめうた」/「こひびとに」/「こひうた 二」/「海辺にて」/「こひうた──片恋」/「無題」/「さんどの」/「あるいは旅」/「ターバンの少女」/「夏の女」/「逝きつつあるロッコに」

あとがき──ミクロポリスからの戻り橋