ハントケ・コレクション
ハントケ・コレクション 3
『冬の旅』ほか4篇

四六判 / 428ページ / 上製 / 価格 5,280円 (消費税 480円) 
ISBN978-4-588-48613-5 C0097 [2025年09月 刊行]

内容紹介

ノーベル文学賞受賞作家の作品集第3巻は、ユーゴスラヴィアをめぐる90年代~2000年代の主要なエッセイ5作品を収録。ユーゴ解体について声を上げた最初のテクスト『第九のくにからの夢想家の別れ』、セルビアとボスニア・ヘルツェゴヴィナを訪れて書き記した『冬の旅』『冬の旅への夏の補遺』、NATOによる空爆を批判した『空爆下のユーゴスラヴィアで』、ミロシェヴィッチ裁判の報告『ダイミエルのタブラス』。

著訳者プロフィール

ペーター・ハントケ(ハントケ ペーター)

ペーター・ハントケ(Peter Handke)
1942年、オーストリアのケルンテン州グリッフェンに、ドイツ人の父とスロヴェニア系の母とのあいだに生まれた。60年代、戦後西ドイツの文学を牽引してきた「グルッペ47」を批判、『観客罵倒』『カスパー』等の斬新で前衛的な作品で注目される。その後も『ゴールキーパーの不安』『ゆるやかな帰郷』『反復』『疲れについての試論』『無人の入江の一年』等、つねに新たな表現を模索しながら長短篇の小説、劇、詩、映画脚本等の多彩なジャンルにわたって、現在に至るまできわめて多作かつ実験的な手法で描き、現代ドイツ語圏文学の最も重要な作家の一人となった。ヴィム・ヴェンダースの映画『ベルリン・天使の詩』の脚本も書いている。90年代以降、旧ユーゴについての発言(ユーゴ解体に至る欧米諸国の対応、NATO空爆に対する抗議等)で激しい論議を巻き起こした。2019年、ノーベル文学賞を受賞した。

元吉 瑞枝(モトヨシ ミズエ)

元吉 瑞枝(モトヨシ ミズエ)
熊本県立大学名誉教授。著書に『ドイツ文学における古典と現代』(共著、第三書房)、『ドイツ文学回遊』(共著、郁文堂)ほか。訳書に、ペーター・ハントケ『幸せではないが、もういい』『ノーベル文学賞受賞講演』(『ハントケ・コレクション1』所収、法政大学出版局)ほか。

阿部 卓也(アベ タクヤ)

阿部 卓也(アベ タクヤ)
関西学院大学教授。訳書に、ペーター・ハントケ『反復』『作家の午後』(『ハントケ・コレクション2』所収、法政大学出版局)、『こどもの物語』(同学社)、『アランフエスの麗しき日々──夏のダイアローグ』(論創社)、『ドン・フアン(本人が語る)』(共訳、三修社)。

服部 裕(ハットリ ヒロシ)

服部 裕(ハットリ ヒロシ)
明星大学名誉教授。訳書に、ペーター・ハントケ『長い別れのための短い手紙』(『ハントケ・コレクション1』所収、法政大学出版局)、学術論文に「創作の軌跡を跡づける文学的自伝の物語──ペーター・ハントケの『別の国のわたしの日』についての一解釈の可能性」(明星大学研究紀要)ほか。

※上記内容は本書刊行時のものです。

目次

第九のくにからの夢想家の別れ
ある過ぎ去った現実=スロヴェニアの思い出

ドナウ、サヴァ、モラヴァ、ドリナ川への冬の旅あるいはセルビアに公正に

冬の旅への夏の補遺

空爆下のユーゴスラヴィアで
涙の下から問いかける──1999年3月・4月、戦争下の2回のユーゴスラヴィア横断・後日の記

ダイミエルのタブラス
スロボダン・ミロシェヴィッチの裁判へのまわり道の証人の報告

訳者あとがき
略年表

書評掲載

「図書新聞」(2025年11月15日号/四方田犬彦氏・評)に紹介されました

関連書籍

『ハントケ・コレクション 1』
ペーター・ハントケ:著
『ハントケ・コレクション 2』
ペーター・ハントケ:著