まなぶことの歩みと成り立ち
公教育の原理的探究

A5判 / 182ページ / 並製 / 価格 2,530円 (消費税 230円) 
ISBN978-4-588-68611-5 C0037 [2023年05月 刊行]

内容紹介

「みんなが学べる」教育が成り立つには何が必要だろうか。本書は古代から現代までの、西洋と日本の教育の歩みをたどり、この原理的な問いに取り組む。特権階級のものだった教育が庶民に広がった背景と影響は何か。貧困や紛争ゆえに「今も学べない子どもたち」を眼前に考えるべきことは何か。教育の理想と公教育の現実とのズレを凝視する、広義の教育史から現代への質問状。

著訳者プロフィール

遠藤 野ゆり(エンドウ ノユリ)

遠藤野ゆり 1978 年生。東京大学大学院教育学研究科博士課程修了。博士(教育学)。山口大学教育学部講師,法政大学キャリアデザイン学部講師,同学部准教授を経て,2020 年より同教授。専攻は現象学的臨床教育学,生きづらさ問題。近著に,『イギリス発! ベル先生のコロナ500 日戦争』(編著,明石書店,2022 年),「発達障害児の母親の生き生きとした語りからその強さを読み解く」村上靖彦編著『すき間の子ども,すき間の支援――一人ひとりの「語り」と経験の可視化』(明石書店,2021 年),『さらにあたりまえを疑え!――臨床教育学2』(共著,新曜社,2019 年)など。

筒井 美紀(ツツイ ミキ)

筒井美紀 1968 年生。東京大学大学院教育学研究科博士課程単位取得退学。博士(教育学)。日本学術振興会特別研究員,京都女子大学現代社会学部准教授を経て2010 年4 月より法政大学キャリアデザイン学部准教授,2015 年4 月より同教授。専攻は教育社会学,労働社会学。近著に,「労働(法)教育の確かな実施におけるリソースの問題―教育行政と学校経営に関する社会学的視点からの検討」(単著,『労働社会学会年報』第33 号,2022 年),「「つながり」を創る学校の機能―「人的資本アプローチ」と「地域内蔵アプローチ」」(単著,『社会政策』第12 巻1 号,2020 年),『ベストをつくす教育実習』(共編著,有斐閣,2016 年),『就労支援を問い直す―自治体と地域の取り組み』(共編著,勁草書房,2014 年),など。

※上記内容は本書刊行時のものです。

目次

まえがき
序章 「教育の原理的探究」とは何か
 第1 節 教育をめぐる勘違い
 第2 節 教育の原理的探究はなぜ必要か
第1 章 古代・中世から近代への社会変化と公教育の不在
 第1 節 歴史をざっくりつかむコツ  
 第2 節 古代:政治・学問・教育の始まり  
 第3 節 中世:キリスト教に覆われた社会  
 第4 節 近代:公教育成立前夜  
第2 章 近代後期から現代への流れと公教育の成立  
 第1 節 公教育: 発想ゼロの時代から当然化した時代へ  
 第2 節 近代と現代のあいだ:産業革命から帝国主義へ  
 第3 節 モノづくり方式でやる子どもの教育?  
 第4 節 庶民の教育なんて国家の責任じゃない  
 第5 節 国家が教育に本腰を入れたのはいつ?  
第3 章 近代化以前の日本社会――その文化と教育をめぐって
 第1 節 日本の歴史概観  
 第2 節 古代・中世・近世の文化と教育  
 第3 節 庶民の教育をめぐって  
第4 章 日本の近代教育システムの誕生とそのあゆみ  
 第1 節 日本の近代化  
 第2 節 教育のさらなる改革  
 第3 節 戦後の教育  
第5 章 現代の公教育が抱える課題と未来展望  
 第1 節 教育を受けられない世界の子どもたち  
 第2 節 多様な子どもが共に学ぶ教育  
 第3 節 本章のまとめ:変化する社会と新しい教育  
終 章  
 第1 節 自分を疑うことから始める  
 第2 節 社会を創る人間を創るために  
あとがき
引用・参考文献
索引

書評掲載

「図書新聞」(2023年09月23日号/北野秋男氏・評)に紹介されました。