出産と生殖観の歴史

四六判 / 334ページ / 上製 / 定価:3,000円 + 税 
ISBN978-4-588-31206-9(4-588-31206-5) C1021 [1996年01月 刊行]

内容紹介

性愛・受胎・出産をめぐる古来の諸見解から,出産の情景や儀礼の変遷,性と生殖の分離をもたらす現代の生殖技術の発展までを展望し,子を産むことの意味を考える。

著訳者プロフィール

新村 拓(シンムラ タク)

1946年静岡県生。早稲田大学大学院文学研究科博士課程修了。文学博士(早大)。専攻は日本医療社会史。公立高校教諭、京都府立医科大学医学部教授を経て、現在は北里大学教授、副学長。著書に『古代医療官人制の研究』(1983年)、『日本医療社会史の研究』(85年)、『死と病と看護の社会史』(89年)、『老いと看取りの社会史』(91年)─以上の4書にてサントリー学芸賞を受賞(92年)。『ホスピスと老人介護の歴史』(92年)、『出産と生殖観の歴史』(96年)、『医療化社会の文化誌』(98年)、『在宅死の時代』(2001年)、『痴呆老人の歴史』(02年)、『健康の社会史』(06年)、『国民皆保険の時代』(11年)─いずれも法政大学出版局刊。編著に『日本医療史』(06年)─吉川弘文館刊。

※上記内容は本書刊行時のものです。

目次

第一部 生殖の理論

第一章 生殖の理論と身体観
 一 前近代の身体感覚と生殖論
 二 生殖の理論の前提となる死生観
 三 中国医学における人の成り立ち
 四 腎の機能とその象徴的意味
 五 受胎と子宮の位置をめぐる議論
 六 解剖がもたらした身体観の変容
 七 天人相関論と形而下での生殖
 八 仏教と受胎論における三事和合
 九 四大と遺渧の継承としての受胎
 一〇 不浄視される受胎
 一一 まとめ

第二章 胎児観と発生論の図像
 一 胎児と生命保護
 二 古代・中世の胎児観
 三 近世の医書にみる発生論とその図像
 四 近世の俗書にみる発生論とその図像
 五 科学的発生論の受容
 六 堕胎・中絶からみた胎児観

第二部 妊娠から出産へ

第一章 月経観

第二章 懐妊
 一 懐妊の徴候、そして胎教
 二 着帯

第三章 易産を求めた古代・中世人の心性

第四章 産死者の腑分け

第五章 近世出産の心得

第六章 出産の情景
 一 分娩の姿勢
 二 出産に立ち会う夫

第七章 産婆を批判する産科医
 一 出産の介添え役
 二 産科医と回生術
 三 教育される産婆

第三部 子を産むことの意味

第一章 結婚
 一 婚姻適齢
 二 早婚と晩婚

第二章 子を産み育てることの意味
 一 女性の自立と少産化
 二 子無き者の罪の深さと老後の養い
 三 不妊の者の不孝と不幸

第三章 受胎調節と出産管理
 一 出生の季節変動
 二 受胎調節の手段と避妊行動
 三 近現代の避妊意識と行動

第四章 障害児の出生

第五章 男児待望の社会と性別判定

第六章 生殖と性愛
 一 三つの性愛
 二 健康のための性愛
 三 「色ごのみ」から本音の性愛へ
 四 性愛道徳
 五 一夫一婦の性愛と生殖

付論 生殖観の歴史
 助産士への期待と不安
 助産婦をめぐる状況
 少数精鋭主義の子育ての落とし穴
 生殖技術がもたらす生殖観の変容
 生殖における神仏の領域と人の領域
 子は授けられるものか、作るものか
 三つの生殖論
 授けられるものから作るものへの転換
 近現代社会の生殖観

あとがき
索引