現代社会研究叢書 6
ケアのリアリティ
境界を問いなおす

三井 さよ:編著, 鈴木 智之:編著
四六判 / 278ページ / 上製 / 定価:3,000円 + 税 
ISBN978-4-588-60256-6 C1336 [2012年05月 刊行]

内容紹介

〈ケア〉と呼ばれるなかには、看護、介護、介助、支援、援助、サポートなど、複数の選択肢が含まれている。こうしてケアは、その内部ではさまざまな分割線によって切り分けられると同時に、その外部に対する多層的な境界線によって区分されている。本書は、さまざまな現場でなされているケアの営みから、そこに生じる諸問題を検証しつつ、ケアのもつリアリティと可能性を探究する。

著訳者プロフィール

三井 さよ(ミツイ サヨ)

1973年生まれ。現在、法政大学社会学部准教授。
主な著書に、『ケアの社会学─臨床現場との対話』(勁草書房、2004年)、『看護とケア─心揺り動かされる仕事とは』(角川学芸出版、2010年)、『ケアとサポートの社会学』(共編著、法政大学出版局、2007年)。

鈴木 智之(スズキ トモユキ)

1962年生まれ。現在、法政大学社会学部教授。
主な著訳書に、『村上春樹と物語の条件』(青弓社、2009年)、『ケアとサポートの社会学』(共編著、法政大学出版局、2007年)、A. W. フランク著『傷ついた物語の語り手─身体・病い・倫理』(ゆみる出版、2002年)。

※上記内容は本書刊行時のものです。

目次

はじめに (鈴木 智之)

第1章 〈場〉の力──ケア行為という発想を超えて(三井 さよ)
一 〈場〉という発想
二 〈場〉がなしうること
三 〈場〉の力を育む工夫や仕組み
四 ケア行為という発想の限界
五 〈場〉にケア提供者はどう働きかけるのか
六 ケア行為という発想を超えて

第2章 名付けられぬものとしての「介助」── 障害の親をもつ子どものリアリティ(土屋 葉) 
一 子どもは介助に「慣れて」いるのか?
二 子どもが行なう「あたりまえの行為」
三 有償の介助者として働くことと、その葛藤
四 子どもにとって「介助」とは

第3章 アイデンティティを保ち作るケア──若年認知症の人の新しい社会関係と自己への移行をめぐって(井口 高志)
一 「その人らしさ」を保ち作ろうとする家族と本人
二 デイサービスAに集う人々の語り
三 本人のアイデンティティを保ち作る
四 家族によるアイデンティティの維持から見えてくること

第4章 受ける側からみる「介護」──ホームヘルプサービスを利用する高齢者の語りから(齋藤 曉子)
一 「介護」の多様化と受ける側の意識
二 インタビュー調査の概要
三 「介護」を受けることの認識
四 「介護」に何を求めるのか?──「仕事」と「会話」の狭間で
五 家族や近隣の人による「介護」
六 受ける側にとっての「介護」

第5章 遠距離介護と同居問題──「なぜ?」はどのように語られるのか(中川 敦)
一 遠距離介護の社会学に向けて
二 家族介護研究における「なぜ?」
三 なぜUターン同居をしないのか?
四 なぜ呼び寄せ同居をしないのか?
五 遠距離介護のリアリティ

第6章 悲しむ主体としての看護師──遺族ケアの手前で考えるべきこと(鷹田 佳典)
一 医療従事者による「遺族ケア」の前提を問いなおす
二 患者の死を経験する
三 遺族との関わりの継続とその困難
四 悼む過程をともに

第7章 未決の問いとしてのがん告知──その後を生きる患者の語りから(田代 志門)
一 病院から在宅へ
二 日本におけるがん告知
三 在宅がん患者の告知体験の語り
四 告知後のケアを考える
五 「個人誌の断絶」を生きる困難

第8章 死にゆこうとする身体のために──応答としてのケアとその臨界(鈴木 智之)
一 呼びかけに応えるということ
二 父の最後の二日間について
三 そこに「人がいる/いない」ということ
四 剥き出しの身体
五 その身体の傍らに居続けるために

あとがき 
人名・事項索引
執筆者紹介

[執筆者紹介](執筆順)

鈴木 智之(スズキ トモユキ)[はじめに、第8章]*編者

三井 さよ(ミツイ サヨ)[第1章]*編者

土屋 葉(ツチヤ ヨウ)[第2章]
1973年生まれ。現在、愛知大学文学部准教授。
主な論文に、「『障害者』と『非障害者』を隔てるもの」好井裕明編『差別と排除の社会学』(有斐閣、2009年)43-163頁、「『真実の感動物語』を読み解く」倉本智明編著『手招くフリーク』(生活書院、2010年)18-43頁、「『ふつうの家族』の物語─身体障害をもつ親のもとで育った子どもの語りから」『愛知大学文学論叢』142号(2010年)、117-134頁。

井口 高志(イグチ タカシ)[第3章]
1975年生まれ。現在、奈良女子大学生活環境学部准教授。
主な著書・論文に、『認知症家族介護を生きる─新しい認知症ケア時代の臨床社会学』(東信堂、2007年)、「新しい認知症ケア時代のケア労働─全体的にかつ限定的に」仁平典宏・山下順子編『労働再審 第5巻 ケア・協働・アンペイドワーク─揺らぐ「労働」の輪郭』(大月書店、2011年)、「医療の論理が認知症ケアにもたらすもの─あるデイサービスの試みを事例にした探索的研究」『福祉社会学研究』9号(2012年5月掲載)。

齋藤 曉子(サイトウ アキコ)[第4章]
1975年生まれ。現在、日本学術振興会特別研究員(RPD)。
主な論文に、「発展途上国におけるケア・ダイアモンド─ UNRISD の6カ国調査から」『海外社会保障研究』170号(2010年)、20-30頁、「高齢者のニーズ生成のプロセス─介護保険サービス利用者の語りから」上野千鶴子・中西正司編『ニーズ中心の福祉社会へ』(医学書院、2008年)70-90頁、「高齢者・家族・サービス提供者の相互関係分析─夫婦間介護におけるサービス〈受容〉のプロセス」『社会政策研究』第7号(2007年)、176-196頁。

中川 敦(ナカガワ アツシ)[第5章]
1976年生まれ。現在、島根県立大学総合政策学部講師。
主な論文に、「『愛の労働』としての『遠距離介護』─母親が要介護状態にある老親夫婦への通いの事例から」『家族研究年報』33号(2008年)、75-87頁、「実の娘による『遠距離介護』経験と《罪悪感》─男きょうだいの有無による老親介護責任配分の位相」三井さよ・鈴木智之編『ケアとサポートの社会学』(法政大学出版局、2007年)37-71頁、「実の娘による『遠距離介護』経験ときょうだい関係─なぜ男きょうだいを持つ娘が通うのか」『家族研究年報』31号(2006年)、42-55頁。

鷹田 佳典(タカタ ヨシノリ)[第6章]
1975年生まれ。現在、早稲田大学人間科学学術院助手。
主な著書・論文に、『小児がんを生きる─親が子どもの病いを生きる経験の軌跡』(ゆみる出版、2012年)、「故人との絆はいかにして継続されるのか」『年報社会学論集』19号(2006年)、177-188頁、「病いをめぐる不確かさとその軌跡─小児がんの子どもを持つ親を事例として」『ソシオロジ』55巻3号(2011年)、85-101頁。

田代 志門(タシロ シモン)[第7章]
1976年生まれ。現在、昭和大学研究推進室講師。
主な著書・論文に、『研究倫理とは何か─臨床医学研究と生命倫理』(勁草書房、2011年)、「死の臨床における世代継承性の問題─ある在宅がん患者のライフストーリー」桜井厚・山田富秋・藤井泰編『過去を忘れない─語り継ぐ経験の社会学』(せりか書房、2008年)、「『看取り』を支える市民活動─ホスピスボランティアの現場から」清水哲郎編『高齢社会を生きる─老いる人/看取るシステム』(東信堂、2007年)。

書評掲載

「出版ニュース」(2012年7月上旬号)に紹介されました。

「看護管理」(2012年7月号)に紹介されました。

「家族社会学研究」(第25巻第1号、2013年4月/中西泰子氏・評)に紹介されました。

関連書籍

三井さよ・鈴木智之編『ケアとサポートの社会学』