叢書・ウニベルシタス 1002
自然美学

四六判 / 500ページ / 上製 / 定価:5,000円 + 税 
ISBN978-4-588-01002-6 C1310 [2013年12月 刊行]

内容紹介

なぜ、われわれは自然に対して好感を抱くのか。もはや内的な意味が信じられていない知覚にとって、自然の感性的な魅力はどこにあるのか。自然をいたわることが人間世界の保護に行き着くのはなぜか。なぜ、自然美は人間的実存がその生をうまく成就できるような範例的な場所であるのか。自然を美的に知覚する可能性を体系的・規範的に記述して、美学と倫理の問題に新たな展望を切り開く。

著訳者プロフィール

マルティン・ゼール(ゼール,M.)

(Martin Seel)
1954年生まれ.ドイツ文学・哲学・歴史学をマールブルク大学とコンスタンツ大学で学び,»Die Kunst der Entzweiung«(「分裂の芸術」)によって哲学博士号を取得.1990年にはコンスタンツ大学に»Eine Ästhetik der Natur«(「自然美学」)を提出して教授資格を得た.1992年から1995年までハンブルク大学教授,1995年から2004年までギーセン大学教授を務め,2004年にフランクフルト大学理論哲学講座正教授に就任し,現在に至る.主な著書に,Die Kunst der Entzweiung. Zum Begriff der ästhetischen Rationalität(1985), Eine Ästhetik der Natur(1991,本訳書), Versuch über die Form des Glücks. Studien zur Ethik(1995), Ethisch-ästhetische Studien(1996), Ästhetik des Erscheinens(2000), Vom Handwerk der Philosophie(2001), Sich bestimmen lassen. Studien zur theoretischen und praktischen Philosophie(2002), Adornos Philosophie der Kontemplation(2004), Paradoxien der Erfüllung. Philosophische Essays(2006), Die Macht des Erscheinens. Texte zur Ästhetik(2007), Theorien(2009)など.

加藤 泰史(カトウ ヤスシ)

一橋大学大学院社会学研究科教授.

平山 敬二(ヒラヤマ ケイジ)

東京工芸大学芸術学部教授.

※上記内容は本書刊行時のものです。

目次

序言

緒論 自然に対する人間の関係
 一、原像か模像か
 二、美的関係
 三、自然美学はいかなる自然を扱うか
 四、倫理学としての自然哲学
 五、美学の用語法について

第一章 観照の空間としての自然
 一、現出の戯れ
 二、意味を欠いた世界
 三、観照的意識
 四、観照の形而上学と観照のイデオロギー
 五、観照的判断

第二章 照応する場所としての自然
 一、生の反映
 二、形成する空間
 三、照応的意識
 四、照応の形而上学と照応のイデオロギー
 五、照応的判断

第三章 想像の舞台としての自然
 一、芸術という仮像
 二、世界との戯れ
 三、想像的意識
 四、芸術の形而上学と芸術のイデオロギー
 五、想像的判断

第四章 自然知覚の時間
 一、美的自然の統一性
 二、両義的経験
 三、自然の規範的概念
 四、風景の自然の回顧
 五、自然風景・文化風景・都市風景

第五章 芸術の偉大さ
 一、美的なものの三つの次元
 二、芸術作品の統一性
 三、美的自然と美的芸術
 四、技術的芸術の時間
 五、美的自然の相互主観性

第六章 自然美の道徳
 一、自然美学から自然倫理学へ
 二、倫理に関する区別
 三、善き生の三つの観点
 四、倫理的経験としての美的自然
 五、道徳的問題としての自然

結論 自然考察の限界
 一、それは自然でなくてもよい
 二、二通りの相互作用
 三、善き生の抽象概念
 四、善と正しさ
 五、外部への眼差し

自然美学と自然倫理学の間──監訳者あとがきに代えて

訳注
原注
参考文献
事項索引
人名索引

[訳者一覧] *は監訳者

加藤 泰史(カトウ ヤスシ) *

平山 敬二(ヒラヤマ ケイジ) *

阿部 美由起(アベ ミユキ)
玉川大学・東京工芸大学・横浜美術大学非常勤講師.

小川 真人(オガワ マサト)
東京工芸大学芸術学部准教授.

菅原 潤(スガワラ ジュン)
長崎大学大学院水産・環境科学総合研究科教授.

高畑 祐人(タカハタ ユウト)
名古屋大学・南山大学非常勤講師.

長澤 麻子(ナガサワ アサコ)
立命館大学文学部准教授.

宮島 光志(ミヤジマ ミツシ)
福井大学医学部准教授.

関連書籍

A.ヴェルマー著/加藤泰史監訳『倫理学と対話』
Th.W.アドルノ著/三光長治訳『ミニマ・モラリア』
R.ブプナー著/竹田純郎監訳『美的経験』