叢書・ウニベルシタス 1015
創造と狂気
精神病理学的判断の歴史

四六判 / 318ページ / 上製 / 定価:3,600円 + 税 
ISBN978-4-588-01015-6 C1310 [2014年07月 刊行]

内容紹介

ミシェル・フーコーの「講義録」の校訂編集などでも知られる哲学者が提示する、新たな《狂気の歴史》。芸術、とりわけ〈書くこと=エクリチュール〉と、狂気の関係は創造においてどのように問われてきたのか。本書は、フーコーの「作品の不在」という概念に応答しつつ、精神医学の文献という明確に限定された資料体の研究によって、芸術と狂気との総合が問題となる歴史と、それが文化的事象となる瞬間を記述する。

著訳者プロフィール

フレデリック・グロ(グロ,F.)

(Frédéric GROS)
1965年生まれ。パリ東(クレテイユ)大学哲学教授。パリの高等師範学校(ENS)で学び、哲学教授資格を取得。1999年にミシェル・フーコーについての研究「認識の理論と知の歴史」で博士号を取得。その後は、フーコーに関する著作を刊行する他、精神医学、正義と暴力といったフーコーの思想に触発された大きなテーマを軸に研究を行っている。フーコーのコレージュ・ド・フランス講義集の編者でもある。邦訳されている『ミシェル・フーコー』(白水社)、『フーコーと狂気』(法政大学出版局)の他に、未邦訳の著書として『暴力状態──戦争の終焉についてのエッセー』『歩く──ある哲学』『安全原則』などがある。

澤田 直(サワダ ナオ)

1959年、東京生まれ。パリ第1大学哲学科博士課程修了(哲学博士)。立教大学文学部教授、専門はフランス現代思想、フランス語圏文学。著書に『〈呼びかけ〉の経験─サルトルのモラル論』(人文書院)、『新・サルトル講義──未完の思想、実存から倫理へ』(平凡社)、『ジャン=リュック・ナンシー──分有のためのエチュード』(白水社)、訳書に、ジャン=ポール・サルトル『言葉』『真理と実存』(以上、人文書院)、『自由への道』(共訳、岩波文庫)、ジャン=リュック・ナンシー『自由の経験』(未來社)、フェルナンド・ペソア『ペソア詩集』(思潮社)『新編 不穏の書、断章』(平凡社)、フィリップ・フォレスト『さりながら』(白水社)『荒木経惟 つひのはてに』『夢、ゆきかひて』(以上、共訳、白水社)などがある。

黒川 学(クロカワ マナブ)

1958年、神奈川県生まれ。東京都立大学大学院博士課程単位取得退学。明治大学、青山学院大学非常勤講師。フランス文学。共著に『サルトル──21世紀の思想家』(思潮社)、『サルトル読本』(法政大学出版局、近刊)、共訳に、ベルナール=アンリ・レヴィ『サルトルの世紀』(藤原書店)、サルトル『家の馬鹿息子』第4巻(人文書院、近刊)他。

※上記内容は本書刊行時のものです。

目次

はじめに
1 問題提示の原則
2 内在性の原則
3 言表主体の中立性の原則
4 フィクションの原則

第Ⅰ部 法医学的アプローチ

第1章 診断の諸原則
1 決定的証言
2 触知可能な狂気
3 書くことの罠

第2章 分類の魔

第3章 エクリチュールの震え

第4章 ヒステリーのエクリチュール、自動記述

第Ⅱ部 病んだ天才の歴史

第1章 シャラントンの偉人廟
1 文学の中の狂気
2 狂人たちの回廊

第2章 幻覚にとらわれた人
1 民主的な狂気
2 聖なる幻覚

第3章 神経のトランス
1 神経症としての天才
2 真なるもの、健全なるもの、同一なるもの

第4章 優秀変質者
1 神経障害の一族
2 ロンブローゾ─天才の癲癇気質の変質的精神病
3 ノルダウ、民族の黄昏

第5章 標準を超えるもの

第Ⅲ部 芸術家としての狂人の肖像

第1章 詩人とその狂気
1 狂気のエクリチュール
2 狂人文学者と文書資料

第2章 裁き手を前にした狂人芸術家
1 精神科医と裁判官
2 精神科医とジャーナリスト

第3章 子ども、芸術家、野蛮人、狂人

結論

訳者解説
参考文献
人名索引

書評掲載

「図書新聞」(2014年12月20日号、2014年下半期読書アンケート/小倉孝誠氏・評)に紹介されました。