叢書・ウニベルシタス 644
歴史と記憶 〈新装版〉

四六判 / 400ページ / 上製 / 定価:4,800円 + 税 
ISBN978-4-588-09947-2 C1322 [2011年11月 刊行]

内容紹介

人はなぜ、またどのようにして歴史を意識するようになったのか。曖昧にされてきた「歴史」と「記憶」の区別、あるいは「過去/現在」「古代/近代」という歴史考察の基本的な対立概念の相互関係など、心性史の代表的な歴史家でありアナール派第三世代のリーダーでもあるル・ゴフによる、「歴史と歴史論の歴史」につての考察。

著訳者プロフィール

J.ル・ゴフ(ル ゴフ ジャック)

(Jacques Le Goff)
現代フランスの歴史学者。1924年南フランスのトゥーロンに生まれる。パリの高等師範学校、パリ大学、プラハのカール大学に学ぶ。アミアンのリセ教授、オックスフォード大学留学、パリの国立科学研究所員などを経て、1960年高等研究学院講師・教授、1972年同院第六部門科長に就任、1975年からF.ブローデルの後をうけアナール派の牙城とされる社会科学高等研究学院学長を務めた。アナール派第三世代のリーダー的存在。邦訳書に『煉獄の誕生』、『中世の高利貸』、『中世の人間』(編著)、『ル・ゴフ自伝』(以上、法政大学出版局)などがある。

立川 孝一(タチカワ コウイチ)

1948年生まれ。プロヴァンス大学文学部博士課程修了、現在、筑波大学歴史・人類学系教授。専攻:フランス史。著書:『フランス革命と祭り』(筑摩書房、88)、『フランス革命──祭典の図像学』(中央公論社、89)。訳書:M.オズーフ『革命祭典』(岩波書店、88)、M.ヴォヴェル『フランス革命の心性』(岩波書店、92)、同『革命詩人デゾルグの錯乱』(共訳、法政大学出版局、2004)。

※上記内容は本書刊行時のものです。

目次

 フランス語版への序文(一九八八年)
 イタリア語版への序文(一九八六年)

第一章 過去/現在

第一節 心理学における過去/現在の対立
第二節 言語学が照らしだす過去/現在
第三節 「野性の思考」における過去/現在
第四節 歴史意識における過去/現在についての一般的考察
第五節 古代ギリシアから一九世紀に至るヨーロッパ思想における過去/現在関係の変遷
第六節 過去の強迫概念、現在史、未来の魅力の間に挟まれた二〇世紀

第二章 古代/近代

第一節 西洋的で曖昧な対概念
第二節 この対概念における主役は近代である
第三節 古代の曖昧さ──ギリシア・ローマ的古代と他の古代
第四節 近代とそのライバルたち──《新しさ》と《進歩》
第五節 《古代/近代》と歴史──前産業期のヨーロッパにおける古代人と近代人の論争(六~一八世紀)
第六節 《古代/近代》と歴史──近代主義、近代化、近代性(一九~二〇世紀)
第七節 近代主義[近代性]の意味を明らかにする諸領域
第八節 近代主義[近代性]の自覚の歴史的諸条件
第九節 近代的なるものの曖昧さ

第三章 記憶

第一節 民族的記憶
第二節 口承から文字への記憶の発展──先史時代から古代へ
第三節 西洋中世における記憶
第四節 文字と図像による記憶の進歩──ルネサンスから現代まで
第五節 現代における記憶の大変動
結 論 拠り所としての記憶

第四章 歴史

第一節 歴史のパラドクスと曖昧さ
第二節 歴史心性──人間と過去
第三節 歴史哲学
第四節 科学としての歴史──歴史家という職業
第五節 歴史学の現在

 訳者あとがき
 参考文献
 原註