両インド史
西インド篇/上巻

A5判 / 862ページ / 上製貼箱入 / 定価:22,000円 + 税 
ISBN978-4-588-15058-6 C3020 [2015年09月 刊行]

内容紹介

本巻では、コロンブスのアメリカ大陸発見に続く、ヨーロッパによる中南米諸地域への入植が描かれる。アステカやインカの帝国を滅亡に追いやったスペイン人征服者たちの暴力、ポルトガルのブラジル支配、メキシコからチリまでの各地の文明・習俗や大陸の豊かな天然資源と開発、植民地化で活発化した交易と物資の移動など、近世史のパノラマをなす圧巻の叙述。本書後半の西インド篇、刊行開始。

著訳者プロフィール

ギヨーム=トマ・レーナル(レーナル ギヨーム トマ)

(Guillaume-Thomas Raynal)
1713年フランス南部の小さな町ラパヌーズに生まれる。ロデースのイエズス会コレージュに学び、卒業後イエズス会に入会する。1747年頃パリに赴き、文芸ジャーナリストとして活躍、1750年には『メルキュール・ド・フランス』の編集主幹の一人となり、ジャーナリズムの世界に確固たる地歩を占めた。1747年に『総督職の歴史』を、その翌年には『イギリス議会史』を出版する。1750年にはヴォルテールの推薦によりベルリン・アカデミー会員となり、1754年にはダランベールの推薦によりロイヤル・ソサイアティ入りを果たした。1770年、本書『両インド史』を、ディドロ等の協力を得て、匿名で出版し、その後、二版に渡り改訂増補し、いずれも「飛ぶように売れた」が、1781年、アンシアン・レジームの出版弾圧により身柄拘束と財産没収の判決を下されたため、フランスを脱出する。10年の追放の後、1791年にパリへ帰還し、「大革命の父」と賞讃されるが、議会に対して送った勧告の書は「専制主義の復興を企てるもの」として議会と民衆の憤激をよび、再びパリから脱出する。ナンシー、シャイヨ、アティス=モーンスの友人宅を転々、モンレリの娘宅を経て再びシャイヨに戻り、1796年同地の友人宅で死去。

大津 真作(オオツ シンサク)

1945年大阪府生まれ。75年東京都立大学人文科学研究科仏文学専攻博士課程中退。西欧社会思想史専攻。甲南大学名誉教授。著書:『異端思想の五〇〇年──グローバル思考への挑戦』(近刊、京都大学学術出版会)、『思考の自由とはなにか』(晃洋書房)、『倫理の大転換──スピノザ思想を梃子として』(行路社)、『啓蒙主義の辺境への旅』(世界思想社)、訳書:モラン『方法1〜5』、セーヴ『マルクス主義と人格の理論』、ヴェントゥーリ『百科全書の起源』、ヴェーヌ『歴史をどう書くか』『差異の目録──歴史を変えるフーコー』、モスコヴィッシ『自然の人間的歴史上・下』(以上、法政大学出版局)、エレンステン『スターリン現象の歴史』(大月書店)、ジャルダン『トクヴィル伝』(晶文社)、フュレ『フランス革命を考える』、バーク『フランス歴史学革命』(以上、岩波書店)、エステベス/タイボ編『反グローバリゼーションの声』(晃洋書房)、ランゲ『市民法理論』(京都大学学術出版会)、共訳:『ディドロ著作集第3巻』、『啓蒙の地下文書Ⅰ』(以上、法政大学出版局)、他。

※上記内容は本書刊行時のものです。

目次

第六篇 アメリカの発見。メキシコ征服。新世界のこの地域におけるスペイン人の植民

第一章 古代史と近代史の比較
第二章 スペインの古代諸革命
第三章 アメリカ発見の計画をコロンブスが立てる
第四章 コロンブスはまずカナリア諸島に向かって航行する。この諸島の詳細
第五章 コロンブスは新世界へ到達する
第六章 スペイン人がアメリカで最初に植民地を築くのはサント・ドミンゴにおいてである。この島の住民の習俗
第七章 サント・ドミンゴで征服者たちは残虐行為を犯す。それらはなにを産み出したか
第八章 スペイン人にメキシコを知らしめた航海
第九章 スペイン人はメキシコに上陸する。彼らの最初の戦闘はトラスカラ共和国とのあいだに起こった
第一〇章 帝都に招待されたスペイン人は、常軌を逸したいくつもの出来事ののちに退去せざるをえなくなる
第一一章 スペイン人はメキシコを服属させるための新たな手段を考え出し、そのことに成功する
第一二章 メキシコがスペインの支配下に置かれるまで、人びとはメキシコについてどのような考えを抱いていたに相違ないか
第一三章 メキシコは、スペイン領となってのち、内憂外患によって揺り動かされた
第一四章 スペインの支配下でメキシコはどうなったか
第一五章 ヤラッパ栽培について
第一六章 バニラ栽培について
第一七章 インディゴ栽培について
第一八章 コチニールの飼育について
第一九章 鉱山採掘
第二〇章 どのような理由でメキシコは、より大きな繁栄にいたらなかったのか
第二一章 メキシコとフィリピンとの結びつき
第二二章 マリアナ諸島に関する記述。そこで観察された奇妙なもの
第二三章 カリフォルニアの昔と今の状態
第二四章 グアテマラを経由したメキシコとペルーおよびスペインとの往来
第二五章 ホンジュラス、ユカタン、カンペチェに関する記述。そこでは、なにがスペインとイギリスを不和にさせたか?
第二六章 メキシコがスペインとつながっているのは、主としてベラクルスを通じてである。いくつかの格率がこの貿易をこの地まで導いてきた

第七篇 スペイン人によるペルー征服。この帝国が支配を変えてから、そこで起きた変化

第一章 スペイン人による新世界の征服に拍手を送ることができるだろうか?
第二章 南アメリカへのスペイン人の第一歩は、乱暴狼藉と残忍さを刻印している
第三章 ペルーについての最初の観念がスペイン人に与えられる
第四章 三人のスペイン人が政府のいかなる援助も得ないで、ペルー征服を企てる
第五章 遠征の首領ピサロはいかにして帝国の主人となったか
第六章 スペイン人がやってきたときのペルーの起源、宗教、統治、習俗、技芸
第七章 ペルーの服属は征服者同士の血で血を洗う分裂抗争の時代に起こった
第八章 ひとりの老司祭が結局はスペイン人の流血を終わらせた
第九章 ダリエン地方に関する基礎知識。この地方には、諸国を分裂させるだけの値打ちがあるだろうか?
第一〇章 カルタヘナの広さ、気候、土地、要塞、港、人口、習俗、貿易
第一一章 サンタ・マルタ州が忘れ去られてしまった理由
第一二章 ベネスエラ地方を舞台にして起こった最初の諸事件
第一三章 ベネスエラでカカオはつねにスペインの注目を浴びてきた
第一四章 ベネスエラ州は独占の軛のもとに置かれている。繁栄する会社
第一五章 マドリードの宮廷はクマナをラス・カサスの管理に委ねる。地方の繁栄を取り戻そうとして、この有名な人物は実りのない仕事に取り組む
第一六章 オリノコ河について
第一七章 オリノコ河岸で女性はどんな状態であったか。また、いまだなおどのような状態にあるか
第一八章 オリノコ河流域に形作られたスペイン植民地の状態
第一九章 グラナダ新王国略述
第二〇章 グラナダ新王国は、どのようなものであったか、いまどのようであるか、これからどのようなものになることができるか
第二一章 キート州における注目すべき特異性
第二二章 キート地方は大変人口が多い。それはなぜか。住民の労働はどんなものか
第二三章 キート州由来のキナノキ。この薬に関する考察
第二四章 山の形成に関する余談
第二五章 ペルー固有の自然構成
第二六章 ペルーの山々と高原と峡谷はどこが違うか
第二七章 征服者の剣あるいは暴政を免れた少数のペルー人は、獣同然の状態に落ち込んだ
第二八章 いまのペルーはどのような状態になっているか
第二九章 ラマ、パカ、グアナコ、ビクーニャに関する詳細
第三〇章 ペルー鉱山に関する記述、とくに白金と水銀の鉱山に関する記述
第三一章 リマの倒壊と再建。このペルーの首都の習俗
第三二章 パナマは長らくペルーとスペインを結ぶ架け橋だった。この貿易はどのようにして維持されていたか
第三三章 スペイン人はマゼラン海峡とホーン岬の航路をパナマ航路にとって代えた
第三四章 ペルーはかつてと同じほど豊かであるか

第八篇 スペイン人によるチリとパラグアイの征服。侵略にともなって起こった事件と侵略ののちに起こった事件の詳細。この強国は、どのような原理にもとづいて植民地を運営しているのか

第一章 ヨーロッパ人には、新世界において植民地を設立する権利があったのか?
第二章 最初、チリにスペイン人は突如、姿を現わした
第三章 チリでは、スペイン人は休むまもなく戦い続けざるをえなかった。彼らの敵たちはどのようなやり方で戦争をしているか
第四章 スペイン人がチリに設けた植民地
第五章 チリの肥沃さとその現状
第六章 未開人、ペルー、パラグアイとチリとの貿易
第七章 スペイン人はパラグアイを発見する。一世紀に渡る常軌を逸した彼らの振る舞い
第八章 スペインのにつながれたくなかったインディオたちの一部はチャコ地方に逃げこんだ
第九章 スペイン人は三つの大きな州を創建することに成功している。それぞれの州の特質はなにか
第一〇章 パラグアイの首都について。航海者がそこに到達するために乗り越えなければならなかった諸困難について
第一一章 植民地の主要な富、パラグアイ薬草について
第一二章 隣接諸国およびスペインとパラグアイの結びつき
第一三章 当を得た諸改革。それらはパラグアイの境遇を改善するはずである
第一四章 イエズス会士がパラグアイ宣教に当たって、その根拠とした原理
第一五章 これらの有名な伝道地では、なぜ人間の数がほんのわずかしか増えなかったのか?
第一六章 伝道村についてイエズス会士たちに浴びせかけられた非難の数々を検証する
第一七章 これらの伝道村で人びとは幸せであったのか? そして彼らは彼らの立法者たちを惜しんできたのか?
第一八章 これらの伝道村の統治のために、スペイン宮廷があらかじめとった処置
第一九章 スペイン領アメリカに住む諸民族、最初にチャペトーンたち
第二〇章 クレオールたち
第二一章 メスティーソたち
第二二章 黒人たち
第二三章 インディオの昔と今の状態
第二四章 新世界に設置された民政の統治体
第二五章 アメリカで、続いて設けられた聖職者の制度はどのようなものであるか?
第二六章 新世界の土地を征服したときには分配が行なわれた。いまは、土地はいかにして得られるか
第二七章 鉱山採掘のために、いろいろな時期に規則が作られた
第二八章 スペイン領アメリカで設けられた租税
第二九章 最初に、スペイン人が新世界とのあいだに打ちたてた関係は破壊者の原理にもとづいていた
第三〇章 マドリードの宮廷は悪しき体系にどうして固執し続けるのか?
第三一章 スペイン政府の国益を損なう策略が首都自体に招いた結果
第三二章 スペイン宮廷の無分別が植民地に災厄を累積したこと
第三三章 スペインは無気力状態から脱し始めている
第三四章 ヨーロッパとアメリカにおいて繁栄を加速するためにスペインが採るべき手段
第三五章 スペインによる支配は新世界において確固とした土台を持っているか?

第九篇 ブラジルにおけるポルトガル人の植民地。彼らがそこで持ちこたえてきた戦争。この植民地の生産物と富

第一章 ヨーロッパ人は、植民地を築く技法を身につけてきたのか?
第二章 だれによって、どのようにしてブラジルは発見されたか
第三章 最初の住民としてポルトガルがブラジルに与えたのはどのような人間であったか
第四章 リスボンの宮廷は、ブラジルを幾人かの大諸侯のあいだで分割する
第五章 ポルトガルの支配に服従することが期待されていた民族の性格と慣習
第六章 植民地初期にブラジルの先住民とポルトガル人に宣教師たちが及ぼした影響
第七章 フランス人はブラジルに突如、姿を現わした
第八章 ブラジルにおけるオランダ人の征服事業
第九章 異端の国が収めた成功についてポルトガルの説教師が神に訴えたこと
第一〇章 ポルトガル人はブラジルからオランダ人を追い出すことに成功した
第一一章 アマゾン河流域のポルトガル人植民地
第一二章 ポルトガル人はラ・プラタ河に植民することを望んでいる。スペインとの確執を彼らは解きほぐす。両強国のあいだの歩み寄り
第一三章 ポルトガルはブラジルとの関係を間違った土台のうえに築いてしまった。さらに一層破壊的な独占がそれに取って代わった
第一四章 ブラジルに設置された民政、軍事、宗教の統治体
第一五章 ポルトガルに服従しているインディオたちの運命は、ブラジルにおいては、どのようなものであったか、また、どのようなものであるか
第一六章 パラー行政管区の状態
第一七章 マラニョン行政管区の状態
第一八章 ペルナンブコ行政管区の状態
第一九章 バイーア行政管区の状態
第二〇章 リオ・デ・ジャネイロ行政管区の状態
第二一章 サン・パウロ行政管区の状態
第二二章 鉱山地方である内陸部の三行政管区の状態
第二三章 ブラジルで発見された金鉱山の歴史。金採掘の方法
第二四章 ブラジルにおけるダイヤモンド発見史。この宝石の本性に関する考察
第二五章 ブラジルの現状
第二六章 ブラジルと海外との結びつき
第二七章 ポルトガルとその遠く離れた植民地は最大の堕落状態に落ちこんでしまった。どうしてそんなことが起こったのか?
第二八章 宗主国と植民地を停滞から引き出すために、リスボンの宮廷が用いるとよい手段
第二九章 イギリスともめるのを恐れて、リスボンの宮廷は改革計画を思いとどまるべきか否か
第三〇章 ポルトガル自体の境遇とその植民地の境遇の改善をポルトガルに期待するのは理にかなったことだろうか

訳注
訳者解説
索引
事項索引
人名索引
地名索引

書評掲載

「図書新聞」(2016年12月12日号、2015年下半期読書アンケート/小倉英敬氏・評)に紹介されました。

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