閾の思考
他者・外部性・故郷

A5判 / 566ページ / 上製 / 定価:6,600円 + 税 
ISBN978-4-588-15067-8 C1010 [2013年08月 刊行]

内容紹介

異種混淆的な生を説くポストコロニアリズムを経て、日本文化のナショナリズムを東アジア諸国との関係を踏まえて批判的に検討する。柄谷行人、安丸良夫、酒井直樹、エドワード・サイード、ホミ・バーバ、タラル・アサド、ガヤトリ・スピヴァク、ジョルジョ・アガンベン、山尾三省らの思想を通して、「戸惑い」と「受苦」を絆とし、他者を排除しない新たな共同性を創出する可能性を構想する。

著訳者プロフィール

磯前 順一(イソマエ ジュンイチ)

1961年生まれ。宗教・歴史研究。文学博士(東京大学)。
東京大学文学部助手、日本女子大学助教授を経て、現在、国際日本文化研究センター准教授。ハーバード大学、ロンドン大学SOAS、チュービンゲン大学、ルール大学ボッフム、チューリッヒ大学の客員研究員および客員教授を歴任。
著書に、『土偶と仮面──縄文社会の宗教構造』(校倉書房、1994年)、『記紀神話のメタヒストリー』(吉川弘文館、1998年)、『近代日本の宗教言説とその系譜──宗教・国家・神道』(岩波書店、2003年)、『喪失とノスタルジア──近代日本の余白へ』(みすず書房、2007年)、『記紀神話と考古学──歴史的始原へのノスタルジア』(角川学芸出版、2009年)、Japanese Mythology: Hermeneutics on Scripture (London: Equinox Publishing, 2010)、『宗教概念あるいは宗教学の死』(東京大学出版会、2012年)、『どこにもいないあなたへ──恋愛と学問についてのエッセイ』(秋山書店、2013年)など。

※上記内容は本書刊行時のものです。

目次

はじめに ポストコロニアル的な生をめぐる断想

序章 閾の思考──他者の眼差しのもとで
 はじめに
 第一節 他者とナルシシズム
 第二節 日本文化と私のあいだ
 第三節 他者としての自文化
 おわりに

第一章 思想を紡ぎだす声──はざまに立つ歴史家 安丸良夫
 第一節 民衆を記述する
 第二節 困難なる主体―通俗道徳論
 第三節 跳躍する主体―世直し論
 第四節 主体と権力―天皇像論

第二章 ポストコロニアリズムという言説──ホミ・バーバ その可能性と限界
 はじめに
 第一節 国際都市ボンベイとパールシー
 第二節 バーバの芸術・宗教論―「アウラとアゴラ」
 第三節 ポストコロニアル状況下のネイション論―「散種するネイション」
 第四節 コスモポリタニズム論へ―『文化の場所』以降

第三章 他者と共に在ること──ディアスポラの知識人 タラル・アサド
 第一節 ディアスボラの知識人としてのタラル・アサド
 第二節 『自爆テロ』―西洋リベラリズムの批判
 第三節 アサドの思索―受苦と他者
 第四節 ポストコロニアリズムと世俗主義

第四章 外部性とは何か──日本のポストモダン 柄谷行人から酒井直樹へ
 第一節 柄谷行人における「内部/外部」
 第二節 外部性と他者
 第三節 外部性から普遍性へ
 第四節 普遍性と祭祀不能なもの

第五章 モダニティ・帝国・普遍性──「近代の超克」と京都学派
 第一節 絡み合った言説―西洋とアジア
 第二節 モダニティの内部と外部―外部性の探究
 第三節 「近代の超克」と「世界史的立場と日本」―現在性をいかに発話するか
 第四節 普遍性の両義性―帝国と植民地
 第五節 他者と暴力―身体の深みから

第六章 帝国の記憶を生きる──ポストコロニアル批評と植民地朝鮮
 第一節 メトロポリタン・ディアスポラのポストコロニアル批評
 第二節 トランスナショナル・ヒストリーと民族主義
 第三節 異種混淆性とグレーゾーン
 第四節 転向と絶望
 第五節 サバルタンと恥辱

終章 故郷への帰還──ガヤトリ・チャクラヴォルティ・スピヴァクから山尾三省、そしてジョルジョ・アガンベンへ
 第一節 国民的主体という欺瞞―「私」は「あなた」にはなれない
 第二節 特異性としての故郷―スピヴァクの批判的地域主義
 第三節 場所で暮らす決意―山尾三省の故郷性
 第四節 戦後という言説空間の終焉―アガンベンの例外状態

あとがき 震災の後に──アイデンティティの傷について

出典・初出一覧

書評掲載

「週刊読書人」(2014年3月14日号/苅田真司氏・評)に紹介されました。

「京都新聞」(2013年9月18日付/内田孝氏・評)に紹介されました。

関連書籍

H.K.バーバ著/本橋哲也訳『文化の場所』
E.W.サイード著/山形和美訳『世界・テキスト・批評家』