国民皆保険の時代
1960, 70 年代の生活と医療

四六判 / 270ページ / 上製 / 定価:2,800円 + 税 
ISBN978-4-588-31211-3 C1021 [2011年11月 刊行]

内容紹介

今年、国民皆保険制度は50 周年を迎えた。その意義と問題点を検証すべく、1960 〜70 年代までの高度経済成長期を軸に、医療の普及過程や、人びとの老いと病、そして死に対する意識の変化と、その変化をうながした生活の変容を跡づける。「生きること」の意味を求めて、庶民の暮らしに深く寄り添いつつ、社会史の視点から「老・病・死」を問い続けてきた著者の、医療と介護の未来への提言。

著訳者プロフィール

新村 拓(シンムラ タク)

1946年静岡県生.早稲田大学大学院文学研究科博士課程修了.文学博士(早大).専攻は日本医療社会史.公立高校教諭,京都府立医科大学医学部教授を経て,現在は北里大学一般教育部教授,副学長.著書に『古代医療官人制の研究』(1983年),『日本医療社会史の研究』(85年),『死と病と看護の社会史』(89年),『老いと看取りの社会史』(91年)──以上の4書にてサントリー学芸賞を受賞(92年),『ホスピスと老人介護の歴史』(92年),『出産と生殖観の歴史』(96年),『医療化社会の文化誌』(98年),『在宅死の時代』(2001年),『痴呆老人の歴史』(02年),『健康の社会史』(06年)──いずれも法政大学出版局刊.編著に『日本医療史』(06年)──吉川弘文館刊.

※上記内容は本書刊行時のものです。

目次

第一章 国民皆保険への途
  一 はじめに
  二 成熟する医療化社会
  三 医療保険を持つ者、持たない者
  四 傷病から貧困、そして医療扶助へ
  五 民間医療機関が担う国民皆保険
  六 一九五〇年代の医療実態
  七 国民皆保険前夜の医療課題

第二章 国民皆保険が進める医療の社会化
  一 職域から地域に進んだ医療保険
  二 出来高払いとした診療報酬
  三 地域と職域からなる国民皆保険

第三章 医療を支える仕組みの変化
  一 国民皆保険を嫌う医師、差別医療を疑う患者
  二 社会の変化に追いつけない医療改革
  三 経営の苦しさを訴える開業医
  四 保険医総辞退に向けられた世間の目

第四章 変貌する社会のなかでの保健医療
  一 安心と不安が交錯した一九六〇、七〇年代
  二 景気と家計収入に左右される保健医療費
  三 都市近郊農村にみる生活と医療

第五章 薬好きと薬づけ医療のはざま
  一 モノと技術を分離する医薬分業
  二 薬づけから検査づけ医療への転換とコメディカル

第六章 結核から成人病(生活習慣病)の時代へ
  一 結核医療の盛衰
  二 高度経済成長と歩んだ成人病(生活習慣病)
  三 変わりゆく農村と医療衛生

第七章 医療施設からみた高度経済成長期
  一 一九六〇年代の病院での看取り
  二 医療法人が中心となった戦後医療体制
  三 近づいた病院医療の時代 
  四 結核病床の時代から精神病床の時代へ

第八章 変化する開業医と患者の関係

第九章 社会的関心が高まった高齢者の医療と介護
  一 高齢者の受療率を押し上げた国民皆保険
  二 不足する老人福祉施設を補った医療法人
  三 低成長がもたらした福祉の見直し

第一〇章 増えつづける医療費の重圧
  一 曲折する高齢者医療
  二 医療費の削減に向けた動き

第一一章 注視される医療倫理と医師患者関係の転換

  あとがき
  索  引