函館の大火
昭和九年の都市災害

四六判 / 302ページ / 上製 / 定価:3,600円 + 税 
ISBN978-4-588-31623-4 C1021 [2017年01月 刊行]

内容紹介

1934年3月21日夕刻、函館の街を襲った大火は一晩で2千人以上の命を奪い、日本災害史上に残る大惨禍をもたらした。しかし、被害の詳細を扱った学術的記録はこれまで存在しない。榎本武揚の遠戚にあたる歴史学者が、函館の自然環境から説き起こし、行政資料や新聞記事、被災者の手記、そして139名にも及ぶ存命の証人たちへの膨大な聞き書きを総合し、一つの都市災害の全容を初めて明らかにした渾身の歴史書。

著訳者プロフィール

宮崎 揚弘(ミヤザキ アキヒロ)

1940年,東京都に生まれる。慶應義塾大学大学院文学研究科史学専攻博士課程修了。慶應義塾大学名誉教授。専攻は近世フランス史。著書『フランスの法服貴族──18世紀トゥルーズの社会史』(同文舘出版,1994年)『ヨーロッパ世界と旅』(編著,法政大学出版局,1997年),『続・ヨーロッパ世界と旅』(編著,法政大学出版局,2001年),『災害都市,トゥルーズ──17世紀フランスの地方名望家政治』(岩波書店,2009年),『ペストの歴史』(山川出版社,2015年)。訳書に,アーサー・ヤング『フランス紀行──1787,1788&1789』(法政大学出版局,1983年),同『スペイン・イタリア紀行』(同,2012年)など。

※上記内容は本書刊行時のものです。

目次

第一部 函館の環境

第一章 自然環境

 その位置
 海流
 地形
 生物分布
 気候

第二章 都市空間

 国、道との関孫
 市制と市議会
 市の財政
 市域と市街地
 衛生・火災予防組合
 道路と橋
 公共的性格の強い施設

第三章 都市社会

 人口とその構成
 産業
 貿易
 金融
 交通と運輸
 教育

第二部 函館の大火

第四章 危機管理と大火の歴史

 危機管理
 消防の近代化
 その成果
 大火直前の消防体制

第五章 大火の日

 市民生活
 大火の当日
 当日の気象状況
 天気予報
 火災発生
 消防隊の到着
 住民の避難
 その後の消火活動
 避難民の増加
 函館駅と避難民
 ライフラインの状況
 避難と誘導
 西部地区へ
 亀田方面へ
 五稜郭公園方面へ
 東川町の護岸と大森浜の悲劇
 橋の惨劇
 新川周辺の人々
 砂山の挽歌
 湯の川へ
 市内での目撃
 上海岸からの目撃
 大野村・七飯村からの目撃
 下海岸からの目撃
 下北半島からの目撃

第三部 鎮火とその後

第六章 後手に回った危機管理

 焼け野原
 危機管理の具体策
 罹災者の収容
 医療救護
 遺体の収容
 焼け跡整理
 復旧措置
 さまざまな機関と団体の増派と応援
 道庁臨時函館出張所の設置

第七章 荒廃と混乱

 社会の荒廃
 伝染病の多発
 物価の高騰
 御真影の取り扱い

第八章 責任と被害

 大火の法的責任
 大火になった原因
 被害を大きくした原因
 被害一覧

第九章 復興

 人の移動
 救恤金と物資
 保険金の支払い
 復興の都市計画
 経済の動向

終 章 大火の記憶

 文字表現による記憶
 絵・映像・歌で残された記憶
 慰霊・消防訓練で残された記憶



証人リスト
 大火から避難した証人A
 匿名希望の避難した証人B
 大火を目撃した証人C
 匿名希望の目撃した証人D

状況推移表
あとがき

書評掲載

「東京人」(2017年4月号/五十嵐太郎氏・評)にて紹介されました。

「北海道新聞」(2017年3月5日付)にて紹介されました。

「図書新聞」(2017年9月9日号/麻生将氏・評)にて紹介されました。

関連書籍

『スペイン・イタリア紀行』
アーサー・ヤング:著
『フランス紀行』
アーサー・ヤング:著