未知との出会い
翻訳文化論再説

四六判 / 270ページ / 上製 / 定価:2,600円 + 税 
ISBN978-4-588-43612-3 C1081 [2013年05月 刊行]

内容紹介

未知の言葉や出来事は、最初の「出会い」のあとで、どのように既知のものへと「翻訳」されるのか。言葉はなぜ、出会いのもたらす驚きや戸惑いをやがて覆い隠し、忘れさせてしまうのか。出来事を言葉に、外国語を自国語に翻訳する行為に必然的にともなうズレのさまざまな帰結を、日本の歴史を貫く普遍的問題として追究する翻訳文化論のエッセンス。著者インタビューを付す最良の入門書。

著訳者プロフィール

柳父 章(ヤナブ アキラ)

1928年東京市生。東京大学教養学部教養学科卒。元桃山学院大学教授。著書に『翻訳語の論理』『文体の論理』『翻訳とはなにか』『翻訳文化を考える』『日本語をどう書くか』『秘の思想』『近代日本語の思想』(以上、法政大学出版局)、編著に『日本の翻訳論──アンソロジーと解題』(法政大学出版局)、『翻訳の思想』(ちくま学芸文庫)、『比較日本語論』『翻訳学問批判』(日本翻訳家養成センター)、『翻訳語成立事情』(岩波新書)、『現代日本語の発見』(てらこや出版)、『「ゴッド」は神か上帝か』(岩波現代文庫)、『一語の辞典──文化』『一語の辞典──愛』(三省堂)、『翻訳語を読む』(丸山学芸図書)がある。

※上記内容は本書刊行時のものです。

目次

序 初めに出会いがあった
 シンメトリー対オモテ・ウラ
 普遍的な構造としてのオモテ・ウラ

第一章 「出会い」──未知との遭遇
 コト(言葉)とコト(事実)
 堅固な言葉、文字
 「意味」よりも「形」が大切だった
 「出会い」から考える
 翻訳語の「戸惑い」
 翻訳における意味のズレ
 翻訳語の意味は必ずズレる
 観念を語る言葉との「遭遇」
 漢字は、意味よりも形が大切

第二章 「文」との出会い
 「文」との出会い
 「である。」が造られた
 翻訳で造られた日本文
 初めと終わりのある文
 「カセット文」
 演繹論理をつくる文
 「カセット文」と純粋言語

第三章 「自然」との出会い
 自然とnatureとの違い
 natureから見た環境問題──宗教的背景
 自然科学の転換
 自然の二つの意味
 「自然」の、環境問題における意味

第四章 「神」との出会い
 近代における「神」
 Godの翻訳語「神」
 宣教師の翻訳思想
 日本に渡来したキリスト教「神」
 天皇制における「神」

第五章 「愛」との出会い
 恥ずかしかった「愛」
 「愛」は虚偽か
 煌めく言葉「愛」の出現
 翻訳語「恋愛」
 教会は「愛」の舞台だった
 西洋における「愛」の由来
 「愛」から女性崇拝へ
 トゥルバドゥールの「愛」の形
 トゥルバドゥールとキリスト教
 「愛」の翻訳が問題だった
 聖書の「愛」の翻訳、まず中国語から
 中国語の「愛」と日本語の「愛」
 近代日本の「愛」の行方

第六章 異文化との出会い
 日本における異文化
 「出会い」からうまれる「境界」
 権力は恐れていた
 殉 教
 キリシタン類族というフィクション
 民衆もキリシタンが分からなかった
 平人、類族、賤民
 身分差別とケガレ差別
 カースト制
 カースト制の境界

第七章 「文明」との出会い
 それは「危機意識」から始まった
 「文明」──都市化の運動
 文明としてのキリスト教
 シヴィリゼーション高揚の時代
 日本にやってきた「文明」
 日本における「文化」の台頭
 フランスの「文明」対ドイツの「文化」
 日本における「文明」の没落

附 翻訳との出会い インタビュー
 一 翻訳との出会い
 二 評論家としての出発
 三 翻訳文化論の深化と展開
 四 翻訳研究の現在と未来

あとがき
柳父章著作目録