渡りの文学
カリブ海のフランス語作家、マリーズ・コンデを読む

四六判 / 470ページ / 上製 / 定価:4,500円 + 税 
ISBN978-4-588-49032-3 C1090 [2013年12月 刊行]

内容紹介

カリブ海に浮かぶ小島、仏領グアドループに生まれた国際的な女性作家M・コンデ。その創作に見られる想像力には、アフリカ‐アメリカ‐カリブを往還する彼女の身体性と心性が反映されている。本書は,カリブの歴史・思想史、作家の系譜からコンデの作品群に横たわる〈奴隷制の記憶〉を読み解き、クレオールやポストコロニアル、さらにはカリブ世界の創造を考える。

著訳者プロフィール

大辻 都(オオツジ ミヤコ)

1962年東京生まれ。
東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。博士(学術)。現在、京都造形芸術大学准教授。
専門はフランス語圏文学、現代文学全般。

※上記内容は本書刊行時のものです。

目次

序章 マリーズ・コンデとは誰か?

第I部 カリブ海、言葉の胎動

第1章 被植民者による諸理論の変遷とその後景
一 セゼールとネグリチュード
二 クレオール性とは何か?

第2章 書かれること/書くこと──表象としてのカリブ女性から女性作家へ
一 植民者と「黒人」の出会い──恐怖から接近へ
二 ドゥドゥイスム──クレオール女性の表象
三 ヨーロッパ人作家が描く「黒人」女性像──『ウーリカ』『ユーマ』「ボアテル」

第3章 カリブ海の女性作家誕生
一 戦間期とヴィシー政権下──S・ラカスカード、S・セゼール
二 一九六〇年代:カリブ女性の日記文学と病理──ミシェル・ラクロジル
三 一九七〇年代:クレオール世界のアレゴリー──シモーヌ・シュヴァルツ=バルト

第II部 マリーズ・コンデを読む

第1章 マリーズ・コンデと「アフリカ」──『ヘレマコノン』をめぐって
一 『ヘレマコノン』とその背景── 一九六〇年代初頭のアフリカ独立国家
二 セゼールからファノンへ──コンデと「アフリカ」を結ぶふたりの作家
三 大文字の「アフリカ」はあるのか
四 隔てる時間と集団的記憶

第2章 非‐マロン文学としてのカリブ海文学──『わたしは魔女ティチューバ』
一 アフリカからアメリカへ──新たな自伝
二 マロナージュと母子関係──トニ・モリソン『ビラヴィド』と『わたしは魔女ティチューバ』
三 語りとしての滑稽叙事詩と非‐英雄たちの共生

第3章 アフリカ‐アメリカ‐カリブ海──『最後の預言王たち』
一 ふたたび「アフリカ」──非‐英雄スペロの起源探索
二 アメリカのカリビアン
三 カリブの母の系譜
四 アメリカ/カリブのアナンシ的ネットワーク

第4章 蜘蛛の巣化する一族──『悪辣な生』
一 カリブ海の歴史とある家族の「滑稽叙事詩」
二 個人の記憶、集団の記憶
三 世界の周縁としてのカリブ海ディアスポラ

第5章 アンチ・ヒーローと名前──コンデ作品のカリブ世界創造:『マングローヴ渡り』『移り住む心』(前)
一 英語文学の書き換えとグアドループへの移植
二 他所者のいる共同体
三 奇妙な名──クレオールの魔術空間

第6章 微弱なポリフォニー──コンデ作品のカリブ世界創造:『マングローヴ渡り』『移り住む心』(後)
一 複数化する乳母(マボ)たち
二 コンデの「姉」リースの多層的批判
三 マングローヴを生きる──シャモワゾーとの対話

終章 世界の網としてのカリブ海

 註記
 あとがき
 附録3 マリーズ・コンデ個人年譜
 附録2 カリブ海の女性文学史
 附録1 カリブ海のフランス植民地史概略
 参考文献一覧
 索引

書評掲載

「図書新聞」(2014年2月15日号/中村隆之氏・評)に紹介されました。

「図書新聞」(2014年12月20日号、2014年下半期読書アンケート/澤田直氏・評)に紹介されました。

「週刊読書人」(2014年12月19日号、2014年回顧 収穫動向/塚本昌則氏・評)