マラルメの辞書学
『英単語』と人文学の再構築

A5判 / 430ページ / 上製 / 定価:5,200円 + 税 
ISBN978-4-588-49511-3 C1098 [2015年09月 刊行]

内容紹介

19世紀後半のフランスで、一介の中学教師として英語を教えていた大詩人は、『英単語』という奇妙なテクストでいったい何を企図していたのか。マラルメ詩学の基礎をなす、文字や音のもつ神秘とその歴史性についての言語学的認識を、当時の古典語をめぐる教育文化・政策やヨーロッパ辞書学の系譜に位置づける前人未踏の探究。読み書きの根源に見出される「人文学」の問いとは何か?

「第1回 法政大学出版局・学術図書刊行助成」対象作品

著訳者プロフィール

立花 史(タチバナ フヒト)

1974年生まれ。早稲田大学等非常勤講師。フランス文学専攻。共著に『危機のなかの文学』(水声社)、『戦争と近代』(社会評論社)、『マラルメの現在』(水声社)ほか、論文に「マラルメの辞書学─『英単語』第一巻「一覧表」の解読」(『フランス語フランス文学研究』102号)、「デリダ美学の研究─文学、あるいはフィクション性の制度」(『現代思想』2015年2月)ほか、共訳書にデリダ『散種』(法政大学出版局)、同『哲学への権利1』(みすず書房)がある。

※上記内容は本書刊行時のものです。

目次

序論

第一章 『最新流行』の人文学
 第一節 歴史のなかの人文学
  1 自由学科から人文学へ
  2 人文学の目的と内容
  3 人文学の見直し
  4 現用語の教師マラルメ
  5 『最新流行』「教育の助言」の同時代性
第二節 『最新流行』の「教育の助言」概観
第三節 ブレアルと教科書たち
  1 ダイレクトメソッド
  2 文献学メソッド

第二章 『英単語』の辞書学 
 第一節 『英単語』刊行まで
 第二節 心の辞書学
 第三節 新教材としての『英単語』
  1 マラルメのダイレクトメソッド
  2 言語の歴史教育
  3 英語の(再)創造力
 第四節 人文学のための辞典
  1 マラルメの人文学
  2 詩作辞典「グラドゥス」の歴史
  3 グラドゥスの使い方
  4 心の中のグラドゥス

 補論 マラルメとアール
  1 『英語文献学』の背景
  2 『英語文献学』の「前書き」
  3 文献学の教科書か、文献学メソッドの教科書か

第三章 「一覧表」の構造
 第一節 「一覧表」の分析対象
 第二節 もともとの語彙
 第三節 語家族と孤立語
  1 語の家族とは何か
  2 語家族の内訳
  3 フランス語による翻訳と注釈
  4 擬音語と間投詞の扱い
  5 孤立語
 第四節 イニシャルの説明

第四章 「一覧表」の包括的イメージ
 第一節 ジャック・ミションの分析
 第二節 ミションの問題点
 第三節 ミションの可能性
 第四節 包括的イメージ

第五章 「一覧表」と辞書学
 第一節 辞典とその目的
 第二節 辞書学における配列問題
  1 意味的分類による挑戦
  2 語源的分類による挑戦

第六章 「一覧表」の分析
 第一節 イニシャル内の恣意性
  1 語たちの有縁化—語家族
  2 語家族たちの有縁化—イニシャルの説明
 第二節 イニシャル間の恣意性
  1 イニシャル間の形式的有縁化—音声学的序列
  2 イニシャル間の意味的有縁化— 「全体的な意味と音との諸関係」へ
 第三節 「一覧表」と現代の言語科学
  1 一覧表の挑戦
  2 一覧表の難点
  3 一覧表の歴史的位置づけ
  4 心内辞典
  5 知的記憶術

第七章 近代語と公共性
 第一節 言語の自己反省
  1 マルシャルによる辞書学
  2 言語をめぐる反省
 第二節 人類の生を生き直す
  1 非人称的な生き直し
  2 書物の遍在
 第三節 一覧表のトポス
  1 一覧表の可動性
  2 さまざまな観点
  3 さまざまな楽器

第八章 マラルメと人文学
 第一節 近代語人文学からフランス語人文学へ
  1 近代語人文学
  2 フランス語人文学
 第二節 パブリック・ドメイン
  1 爆弾と書物
  2 知の聖遺物
  3 フランスの高等教育
  4 文学基金
 第三節 マラルメの「文芸」
  1 「文芸」の二重性
  2 文字の神学
  3 人文学の空間

結論
 人文学の危機/『英単語』の辞書学/人文学の再構築/マラルメ以後

主要な書誌
あとがき

書評掲載

「週刊読書人」(2015年12月11日号/原大地氏・評)に紹介されました。

「週刊読書人」(2015年12月18日号、年末回顧総特集/塚本昌則氏・評)に紹介されました。

「cahier」(2017年19号/中畑寛之氏・評)にて紹介されました。

関連書籍

『散種』
ジャック・デリダ:著
『言説、形象(ディスクール、フィギュール)』
ジャン=フランソワ・リオタール:著
『象徴の理論〈新装版〉』
ツヴェタン・トドロフ:著