スペイン近代文学を代表する詩人で、ウナムーノらとともに〈98年世代〉の一人とされるマチャード(1875-1939)。故国スペインを深く思い、同時代の国民の啓蒙に奮闘する詩人は、その分身たる修辞学・詩学教師フアン・デ・マイレーナによるアフォリズム的な偽作手記の形で独自の表現を得た。1936年刊の理論的代表作と、『全詩集』中の関連部分を初めて日本語訳。生誕150年記念出版!
アントニオ・マチャード(マチャード アントニオ)
アントニオ・マチャード(Antonio Machado)
1875年セビーリャ生まれ。1883年マドリッドに転居、「教育自由学園」で学んだ後、世紀末からパリ在住。1907年ソリア中等教育学校フランス語講座を獲得して赴任、1909年教え子レオノールと結婚、しかし新妻は1911年に発病、翌年8月に死去。この惨事で受けた大きなショックから立ち直るためにバエサに移り(至1919年)、苦悶のうちにありながらも詩作と哲学に精励。以後、セゴビア、マドリッドと転勤。1927年、スペイン王立言語アカデミー会員に選出。1936年内戦勃発とともにバレンシアに移るが、状況悪化のため1939年スペインを脱出、フランス到着数日後に死去。
1899年頃から詩作をはじめ、華美、色彩、感性を重視した近代派による詩改革には賛同しつつも、自らは表面的華美な、技巧的な詩は避け、内面的、真摯で、存在の秘密に迫るような詩作に精進。処女詩集『孤独』(1899–1907)、『カスティーリャの野』(1907–1917)の表題からも推測されるように、人間の存在の謎、その迷宮の心、宇宙との共鳴、孤独、愛を詠んだ。
杉山 武(スギヤマ タケル)
杉山 武(スギヤマ タケル)
1944年生まれ。東京外国語大学大学院修士課程修了(スペイン語専攻)。スペイン現代思想研究者。広島修道大学名誉教授。主要訳書:オルテガ・イ・ガセット『ライプニッツ哲学序説──その原理観と演繹論の発展』(法政大学出版局、2006年)、オルテガ・イ・ガセット『形而上学入門』(晃洋書房、2009年)。
『フアン・デ・マイレーナ』
アントニオ・マチャード『全詩集』「偽作詩集より」
訳者あとがき
アントニオ・マチャード『全詩集』「偽作詩集より」
訳者あとがき







