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叢書・ウニベルシタス1210

尊厳の臨床

尊厳の臨床

尊厳はいかに毀損されているか?

四六判/上製/286ページ/刊行

ISBN978-4-588-01210-5 C1310

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内容紹介

〈尊厳〉は人権概念の核をなし、他者には譲り渡すことのできない権利や安全を個々の存在に保証する。しかし現代では、政治的・社会的な差別のみならず、ケアや労働の現場、動物との関係性などいたるところで尊厳の毀損が日常化している。困難を克服する道はどこにあるのか? 政治に介入する精神分析家の先鋭な問題提起と、それに応答する実践家4人の喫緊のテキストからなる提言の書。

目次

《尊厳の臨床》

序論

第1章 尊厳の時代

貴族の尊厳から平等な尊厳へ
承認に値する尊厳

第2章 尊厳の毀損の全世界的な広がり

「黒人」のナラティブ性
毀損された尊厳のナラティブ倫理
亡命者の条件──追い立てられた者の尊厳
和解不可能なものとの緊張

第3章 「汚さ」の臨床

ダーク・ケアとダーティ・ケアの境界で──闘いの場での臨床
プライバシーの臨床的機能──尊厳感情の保証
尊厳毀損の 「凡庸さ」
共同体と免疫=免除

第4章 尊厳の病理

自由の病理から 「尊厳の剥奪」 の死政治的行為へ
生きにくさを作る
尊厳に呪われたる者たち──尊厳を暴力によって取り戻す

第5章 尊厳を毀損していく世界

人新世、あるいは尊厳の体系的毀損の脅威
世界のブルータリズム性
施設内での尊厳毀損の諸様態
居住不能性あるいは尊厳の毀損への慣れ
尊厳なき者に向き合うホスピタリティの未来
崩壊と過剰消費、それにどう抵抗するか

第6章 尊厳毀損への憤りから、行動する尊厳へ

尊厳毀損への憤りのレトリックの力と限界
尊厳毀損への憤りの劇場
名誉と尊厳 (dignitas)、名誉棄損 (di-fama) の復活
ケアの倫理、いかに尊厳をもって行動するか
コモンズ (共有地) の尊厳について
尊厳を学ぶ、「共同注意」と行為

おわりに
謝 辞


《応答と探究》

権利の観点から見た尊厳 【クレール・エドン】

尊厳、諸権利の基礎をなす概念
権利擁護局擁護者の活動における尊厳の中心的位置
尊厳侵害の検証
「尊厳の新たな守護者たち」
尊厳の倫理学に向けて
付録一/付録二

人間以外の存在者の尊厳──地球と生きものに対する責任 【ブノワ・ベルトリエ】
人間の尊厳という観念なしに済ませることは可能か
尊厳の観念は人間以外の生きものにも拡張できるのか
責務としての人間の尊厳

屈辱から抵抗へ──エイズ患者を動員する 【カトリーヌ・トゥレット=テュルジス】

エイズ患者たちの社会への異議申し立て
サハラ以南のアフリカにおける沈黙の感染症に立ち向かう
どうすれば医療機関を患者にとって屈辱的なものでないようにできるのか
生き残る者の政治学

刑務所での尊厳毀損────象徴的な劣化 【バンジャマン・レヴィ】

尊厳剥奪の場所
尊厳毀損の共有体験
果てしなく続く権利交渉
混雑から疎外へ
感情の悪化
尊厳は待ちもうけていないところにある

訳注
訳者あとがき

著訳者プロフィール

シンティア・フルーリ(Cynthia Fleury)
1974年パリ生まれのフランスの哲学者、精神分析家。理工系グランゼコール・フランス国立工芸院(le Conservatoire national des arts et métiers)人文学・健康講座とパリ大学病院グループ精神医学・脳科学サン=タンヌ病院(l’hôpital Sainte-Annne du GHU Paris psychiatrie et neurosciences)哲学講座の正教授で、工学系グランゼコール・パリ国立高等鉱業学校(l’École nationale supérieure des mines de Paris)の客員教授。2000年にパリ第4大学(パリ・ソルボンヌ)で「想像力の形而上学」で学位取得。同年のその学位論文Métaphysique de l'imagination (D’Écarts)に始まり、2023年の本書に至るまで多産な著作活動を展開している。

香川 知晶(カガワ チアキ)
1951年生。山梨大学名誉教授。フランス哲学・応用倫理学。著書に『死ぬ権利──カレン・クインラン事件と生命倫理の転回』(勁草書房)、『命は誰のものか』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、共編著に『生命倫理の源流』(岩波書店)、『メタバイオエシックスの構築へ』(NTT出版)、訳書に『デカルト 医学論集』、ビトボル=エスペリエス『デカルトにおける生命の原理』(法政大学出版局)ほか。

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Additional Information for the Book
追加情報

執筆者
クレール・エドン(Claire Hédon)
1962年パリ生まれのフランスのジャーナリスト・社会運動家。2017年フランス国家倫理諮問委員会(Comité consultatif national d'éthique pour les sciences de la vie et de la santé)委員(任期4年)、2020~26年フランス権利擁護局・擁護者代表。

ブノワ・ベルトリエ(Benoît Berthelier)
哲学博士課程嘱託(doctrant contratuel)。著書にLe sens de la terre : Penser l’écologie avec Nietzsche (Seuil).

カトリーヌ・トゥレット=テュルジス(Catherine Tourette-Turgis)
1953年パリ生まれ、心理学者・教育学者。1981年パリ第8大学で「精神分析と教育」で学位を取得。パリ・ソルボンヌ大学名誉教授。

バンジャマン・レヴィ(Benjamin Lévy)
高等師範学校で哲学を学び、パリ第7(パリ=ディドロ)大学で精神病理学・精神分析学の学位及び臨床心理士資格を取得。パリで集団心理学の専門家として教育・研究に従事。著書にL’Ére de la revendi-
cation (Flammarion)。

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