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その場に居合わせる思考

その場に居合わせる思考

言語と道徳をめぐるアドルノ

A5判/上製/416ページ/刊行

978-4-588-15110-1 C1010

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内容紹介

われわれの規範的探究は、意のままにならない対象とのもつれた関係のなかでこそ、はじめて達成される。われわれはよりよい思考や道徳的行為を、われわれ一人ひとりの価値判断に基づいて始めることはできないのである。アドルノの哲学的テキストと講義録、エッセイ、音楽論を自在に行き来しつつ、対象と関わり、その場に居合わせることでしか生まれえない豊かな哲学の経験を提示する。

目次

序 論
 第一節 問題
 第二節 論点
 第三節 方針
 第四節 構成
第一章 概念
 序 問題設定──概念把握することの規範的側面を再構成する
  一・〇・一 概念道具説に対するアドルノの両義的態度
  一・〇・二 概念的思考の規範的探究に向けた問題設定
 第一節 アドルノの概念論理解のための予備的議論──問題の共有と媒介概念の含意
  一・一・一 概念をめぐるアドルノの問題設定の共有
  一・一・二 媒介概念の含意
 第二節 概念のあり方の向きを変える──概念理解の実質的アプローチ
  一・二・一 概念と非概念的なものの関係
  一・二・二 概念理解の実質的アプローチ
  一・二・三 概念理解の両義性
  一・二・四 概念物神崇拝批判
  一・二・五 概念の実質的理解の再帰的性格
 第三節 音楽形式論を言語哲学的に読解する
  一・三・一 音楽上の概念の歴史的連関
  一・三・二 実質的に理解された概念による作品理解──ヴェーベルン解釈を例にして
  一・三・三 音楽作品を「概念把握する」
 第四節 対象に密着する思考
  一・四・一 対象の側からの要請としての規範性
  一・四・二 現状肯定的態度の拒絶
  一・四・三 個別的なものの内在的普遍性
  一・四・四 概念能力と感受性の同時的発揮としての概念把握
第二章 叙述
 序 問題設定──哲学をカプセルに包むことなく言語論的アイディアを展開する
 第一節 デカルト的方法論批判から弁証法的思考へ
  二・一・一 アドルノの修辞的な読解姿勢
  二・一・二 四規則の導入部──「決心」
  二・一・三 第一規則(明晰判明)──「速断を避けて」
  二・一・四 第二規則(分析)──きめ細かいものへの憎悪
  二・一・五 第三規則(総合)──「私は前提する」
  二・一・六 第四規則(枚挙)──認識の物象化
 第二節 弁証法的思考のモデルとしての音楽分析論
  二・二・一 「自然のあり方にふさわしいように」──プラトンから継承する分析の構想
  二・二・二 音楽作品は分析を必要とする
  二・二・三 分析は個別的な作品のなかにある普遍性の契機を探し求める
  二・二・四 分析は生成の聴取に寄与する
 第三節 弁証法的思考の言語論的含意
  二・三・一 認識論と言語運用の問題の導入
  二・三・二 第一哲学の修辞的解釈
  二・三・三 第一哲学批判としての弁証法的思考
 第四節 密着する思考としての叙述
  二・四・一 表象のプロジェクト
  二・四・二 喚起のプロジェクト
  二・四・三 密着のプロジェクト
第三章 自由
 序 問題設定──自然支配の考えから自由の構想を引き出す
  三・〇・一 『啓蒙の弁証法』の自然支配概念
  三・〇・二 自然支配概念の修辞的解釈とその問題
  三・〇・三 芸術論の自然支配概念
 第一節 音楽素材論を実践哲学的に読解する
  三・一・一 なぜ素材が問題となるのか
  三・一・二 素材概念の導入と問いの明示化
  三・一・三 自明性の崩壊から模索される自由
  三・一・四 自立性と自発性を伴う自由
  三・一・五 自分自身の強制からの自由
 第二節 自由のイメージとしての不定形音楽
  三・二・一 不定形音楽の構想──抽象的形式の拒絶と連関の内在的構成
  三・二・二 セリー音楽の内在的矛盾
  三・二・三 自然支配に反抗するケージの試み
  三・二・四 歴史的参照点としての無主題的音楽
第四章 道徳
 序 問題設定──否定主義と規範的主張のあいだの緊張を解きほぐす
  四・〇・一 規範性の問題の定式化に向けた予備的考察
  四・〇・二 「新しい定言命法」をめぐる問題とそれに対するアプローチ
 第一節 規範性の問題
  四・一・一 規範性の問題をめぐるフライアンハーゲンの議論
  四・一・二 フライアンハーゲンの議論へのコメント
 第二節 道徳哲学の自足性批判
  四・二・一 理性の首尾一貫性ではなく理性への反省
  四・二・二 個人主義批判
  四・二・三 道徳哲学批判の背景としての歴史認識
  四・二・四 基礎づけ不可能性──カントに抗してカントから継承する論点
 第三節 新しい定言命法
  四・三・一 「新しい定言命法」の提示と論点の明確化
  四・三・二 身体的契機への訴えによる自足的認識論批判
  四・三・三 身体的契機と批判的契機の収斂
  四・三・四 実践的認識能力としての衝動
結 論

  あとがき
  文献表
  事項索引
  人名索引

著訳者プロフィール

守 博紀(モリ ヒロノリ)
一橋大学大学院言語社会研究科博士後期課程修了。博士(学術)。現在、高崎経済大学非常勤講師、一橋大学大学院言語社会研究科博士研究員。哲学・倫理学。共著に、『アドルノ美学解読──崇高から現代音楽・アートまで』(藤野寛・西村誠編著、花伝社、2019年)。

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「図書新聞」(2021年3月6日号/藤井俊之氏・評)に紹介されました。

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