カントと啓蒙のプロジェクト
『判断力批判』における自然の解釈学

A5判 / 288ページ / 上製 / 定価:4,800円 + 税 
ISBN978-4-588-15084-5 C1010 [2017年11月 刊行]

内容紹介

近代的人間理性を批判するにあたって、カント哲学を「自然支配の理論」とみなして標的にしたベーメ兄弟の議論は正当なものであったのか? 啓蒙のプロジェクトの再検討を促した問題作『理性の他者』に反論すべく、『判断力批判』の議論を「自然の解釈学」として捉え直し、未規定の自然を象徴的に理解する能力としての反省的判断力の解明を通して、カント自然美学を体系的に把握する気鋭の研究。

著訳者プロフィール

相原 博(アイハラ ヒロシ)

1975年東京都生まれ。1998年、法政大学文学部哲学科卒業。2013年、法政大学大学院人文科学研究科哲学専攻博士後期課程修了。現在、法政大学・法政大学大学院兼任講師、国士舘大学非常勤講師。博士(哲学)。
主要論文:「人間の尊厳概念への「消極的アプローチ」の検討──尊厳概念を応用倫理学の諸領域で使用するために」(『法政大学文学部紀要』第72号、2016年)、訳書:トム・ロックモア『カントの航跡のなかで──二十世紀の哲学』(共訳、法政大学出版局、2008年)、コンラート・オット、マルチン・ゴルケ編『越境する環境倫理学──環境先進国ドイツの哲学的フロンティア』(共訳、現代書館、2010年)。

※上記内容は本書刊行時のものです。

目次

序論
 一 本書の目的
 二 本書の考察方法
 三 『判断力批判』研究の現状と課題
 四 本書の基本構成

第一章 『理性の他者』と「自然の解釈学」
 一 「理性の他者」の観点から見たカント批判
 二 判断力にかんするベーメ兄弟の批判的見解
 三 反省的判断力と自然の合目的性
 四 自然の合目的性と解釈学的統一
 五 反省的判断力と自然概念の領域から自由概念の領域への「移行」
 六 自然の反省と「自然の解釈学」
 七 「自然の解釈学」と自然支配からの解放の可能性

第二章 趣味判断と自然美の象徴的理解
 一 趣味論にかんするG・ベーメの批判的見解
 二 「エコロジカルな自然美学」とその批判
 三 趣味判断と自然の合目的性
 四 認識諸能力の調和と範例的描出
 五 美感的理念と「象徴的描出」
 六 美感的反省と「自然美の解釈学」
 七 「自然美の解釈学」と自然美の象徴的理解

第三章 崇高の判断と自然の他者性
 一 崇高論にかんするH・ベーメの批判的見解
 二 力学的崇高と理性的主観の優越性
 三 崇高の感情と道徳的感情
 四 崇高論における自然概念の領域から自由概念の領域への「移行」
 五 「崇高な反省」と解釈作用
 六 「否定的描出」と「崇高な自然の解釈学」
 七 「崇高な自然の解釈学」と自然の他者性

第四章 目的論的判断と自然の自立性
 一 自然目的論にかんするH・ベーメの批判的見解
 二 目的論的判断と機械論的な自然観
 三 有機的な自然と「生ける自然」
 四 「啓蒙の生気論」とカントの自然目的論
 五 目的論的反省と「有機的自然の解釈学」
 六 「有機的自然の解釈学」と自然概念の領域から自由概念の領域への「移行」
 七 「有機的自然の解釈学」と自然の自立性
 八 「自然の解釈学」と『判断力批判』の体系性

第五章 啓蒙のプロジェクトと「自然の解釈学」
 一 啓蒙のプロジェクトにかんするG・ベーメの批判的見解
 二 継続されたカント批判
 三 「理性の他者」としての自然から複製技術時代の自然へ
 四 「自然の批判理論」という新たな構想
 五 啓蒙のプロジェクトと「自然の解釈学」

結論

あとがき
参考文献一覧
事項索引
人名索引

関連書籍

『カントの自由論』
ヘンリー・E. アリソン:著
『自然美学』
マルティン・ゼール:著
『存在の解釈学』
齋藤 元紀:著
『造形芸術と自然』
松山 壽一:著