叢書・ウニベルシタス 1076
依存的な理性的動物
ヒトにはなぜ徳が必要か

四六判 / 288ページ / 上製 / 定価:3,300円 + 税 
ISBN978-4-588-01076-7 C1310 [2018年05月 刊行]

内容紹介

伝統的な哲学が前提してきた、ヒトとそれ以外の動物を区別する根拠とは何か? 両者の間に引かれた境界線を、イルカなど他の知的動物たちとの比較を通じて批判するとともに、人間を孤立し自足した強い個人ではなく、傷つきやすく障碍を抱えうる動物、共同体のなかで〈与える〉だけでなく〈受けとり〉、他者への依存のもとで初めて開花しうる動物として理解する、徳倫理学の画期的な明察。

著訳者プロフィール

アラスデア・マッキンタイア(マッキンタイア アラスデア)

(Alasdair MacIntyre)
1929年イギリス・スコットランドのグラスゴーに生まれる。ロンドン大学で古典学や哲学を学んだ後、1951年にマンチェスター大学で、また1961年にオックスフォード大学で修士号を取得。マンチェスター大学、エセックス大学などイギリスの諸大学で教鞭をとった後、1970年にアメリカに移住。以降、ボストン大学、ノートルダム大学、デューク大学等で哲学科教授を歴任。現在はロンドン・メトロポリタン大学の現代アリストテレス主義倫理学・政治学研究センター等で上級研究員を務めている。1981年に『美徳なき時代』(篠崎榮訳、みすず書房、1993)を発表。本書はいわゆる「リベラル・コミュニタリアン論争」の火付け役となるなど、道徳哲学や政治哲学の世界を中心に大きな反響を呼んだ。その他の著書として、『西洋倫理学史』(1966)(深谷昭三訳、以文社、1986/菅豊彦・井上義彦他訳、九州大学出版会、1985–1986)、『世俗化と道徳的変化』(1967)、『誰の正義? どの合理性?』(1988)、『道徳的探究の競合する三形態』(1990)、『近代の諸対立の中の倫理学』(2016)などがある。

高島 和哉(タカシマ カズヤ)

1971年生まれ。東京大学文学部仏文科卒。早稲田大学大学院社会科学研究科博士課程単位取得満期退学。論文博士(学術)。早稲田大学社会科学総合学術院助手等を経て,現在,明治大学兼任講師。著書に『ベンサムの言語論──功利主義とプラグマティズム』(慶應義塾大学出版会),訳書にイリイチ『生きる意味』(藤原書店)ほか。

※上記内容は本書刊行時のものです。

目次

序 文

第一章 傷つきやすさ、依存、動物性

第二章 動物という類に対比されるものとしてのヒト、
    その類に含まれるものとしてのヒト

第三章 イルカの知能

第四章 言語をもたない動物は信念をもちうるか

第五章 ヒトではない動物の世界はどのくらい貧しいのか

第六章 行動の理由

第七章 傷つきやすさ、開花、諸々の善、そして「善」

第八章 私たちはどのようにして自立した実践的推論者となるのか。
    また、諸徳はどのようにしてそれを可能にするのか

第九章 社会関係、実践的推論、共通善、そして個人的な善

第十章 承認された依存の諸徳

第十一章 共通善の政治的・社会的構造

第十二章 代理人、友、誠実さ

第十三章 道徳的コミットメントと合理的探究

訳者解説
訳 注
原 注
事項索引
人名索引

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