ワインと戦争
ナチのワイン略奪作戦

四六判 / 410ページ / 上製 / 定価:4,400円 + 税 
ISBN978-4-588-36608-6 C1022 [2019年08月 刊行]

内容紹介

第二次大戦中、フランスを占領したナチス・ドイツは、全ブドウ畑を対象とするワイン生産・取引の大規模な収奪システムを構築した。従来は愛国的な抵抗運動(レジスタンス)の文脈で語られることの多かった商人や生産者たちの神話を覆し、彼らが実際は対独協力(コラボラシオン)で多大な利益を得ていたという歴史的事実の全体像を、膨大な一次史料を掘り起こして初めて実証的に明るみに出した問題作。

著訳者プロフィール

クリストフ・リュカン(リュカン クリストフ)

(Christophe Lucand)
1969年、ブルゴーニュに生まれる。ブドウとワイン世界の歴史の専門家。ブルゴーニュ大学(ディジョン)提出の学位論文「ブルゴーニュのワイン卸商──1800年から現代までの歩み、家系、組織網」で博士号取得、後に歴史学教授資格者。パリ政治学院や、ディジョンのブドウ栽培学とワイン醸造学の大学付属研究所(ジュール・ギュイヨ研究所)の講師で、ブルゴーニュ・フランシュ=コンテ大学のユネスコ講座「ワインの文化と伝統」の担当者。他に『ポワリュのワイン──第一次世界大戦中のフランスのワイン史』などがある。

宇京 賴三(ウキョウ ライゾウ)

1945年生まれ。三重大学名誉教授。フランス文学・独仏文化論。著書:『フランス-アメリカ──この〈危険な関係〉』(三元社)、『ストラスブール──ヨーロッパ文明の十字路』(未知谷)、『異形の精神──アンドレ・スュアレス評伝』(岩波書店)、『仏独関係千年紀──ヨーロッパ建設への道』(法政大学出版局)、訳書:トラヴェルソ『ユダヤ人とドイツ』(法政大学出版局)、同『アウシュヴィッツと知識人』(岩波書店)、オッフェ『アルザス文化論』(みすず書房)、同『パリ人論』(未知谷)、ルフォール『余分な人間』(未來社)、同『エクリール』(法政大学出版局)、フィリップス『アイデンティティの危機』(三元社)、同『アルザスの言語戦争』(白水社)、カストリアディス『迷宮の岐路』『細分化された世界』(法政大学出版局)、ロレーヌ『フランスのなかのドイツ人』(未來社)、バンダ『知識人の裏切り』(未來社)、トドロフ『極限に面して』(法政大学出版局)、アンテルム『人類』(未來社)、センプルン『ブーヘンヴァルトの日曜日』(紀伊國屋書店)、オルフ=ナータン編『第三帝国下の科学』(法政大学出版局)、フェリシアーノ『ナチの絵画略奪作戦』(平凡社)、リグロ『戦時下のアルザス・ロレーヌ』(白水社)、ファーブル=ヴァサス『豚の文化史』(柏書房)、ブラック『IBMとホロコースト』(柏書房)、ボードリヤール/モラン『ハイパーテロルとグローバリゼーション』(岩波書店)、クローデル『大恐慌のアメリカ』(法政大学出版局)、ミシュレ『ダッハウ強制収容所自由通り』(未來社)、トラヴェルソ『ヨーロッパの内戦』(未來社)。

※上記内容は本書刊行時のものです。

目次



第一章 ワイン、戦争に参入する
 1 どこにでもあるが、統制下の飲物
 2 戦争の影響下のワイン外交
 3 バート・クロイツナハ、最後のワイン国際会議
 4 「奇妙な戦争」下のワイン
 5 「兵士のホットワイン」

第二章 ワイン・ラッシュ
 1 敗北のショックと商売繁盛
 2 「ワイン指導者」と新秩序の到来
 3 ラバと御者の協力
 4 ブドウ栽培地の再組織化
 5 管理市場と闇市場

第三章 大揺れ
 1 新しい収穫シーズンの困難と禁制主義の再来
 2 ドイツから見たフランスワイン
 3 「ブドウ・ワイン生産規定」の終わりか?
 4 一九四二年秋の転換点
 5 原産地統制呼称の勝利
 6 試練にさらされた原産地呼称全国委員会

第四章 敗北が幸運となる時代
 1 闇市場とナチの購入事務所
 2 「仕方がない……商売なんだ!」
 3 私は「生まれつきのコラボ」なのだ!
 4 フランスワインはヒトラーの「秘密兵器」か?
 5 モナコ、ワイン取引の世界的首都

第五章 戦争に酔う
 1 ブドウ・ワイン生産の危機と変転
 2 ヴィシー、ファシストの農地改革論とブドウ栽培防衛
 3 ブルゴーニュでは、卸売業ぬきのブドウ・ワイン生産
 4 シャンパーニュでは、泡立つ商売繁盛
 5 ドイツの闇市場の中心にコニャックとアルマニャック
 6 全国ワイン取引センター、ボルドー

第六章 呑み込まれたあらゆる恥
 1 ゲームセット。崩壊へ
 2 戦争のページをめくる──敵との「協力」の問題
 3 対独協力?どんな協力?
 4 不正取引と共謀

結 論

原 注
訳者あとがき
口絵図版出典
文献資料

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