鉢植えと人間

A5判 / 290ページ / 上製 / 定価:4,400円 + 税 
ISBN978-4-588-37126-4 C1070 [2018年12月 刊行]

内容紹介

古今東西、人間の暮らしは鉢植えとともにあった。アドニスの園の神話から、中世・近世の文人文化における盆山図像、中東世界の織物文様、西洋近代化以降の盆栽の表象、絵画や映画作品のなかの鉢植えの機能、さらにはオフィスの観葉植物まで──。生と死の両義性をはらむ身近な植物栽培の歴史を振り返り、その意味を総合的に読み解く初の文化史。

著訳者プロフィール

田嶋 リサ(タジマ リサ)

神奈川県出身。法政大学,東洋学園大学ほか兼任講師。高校卒業後単身渡英,渡米。The State University of New York Rockland Community College卒業。帰国後,ラジオパーソナリティー,音楽ライター,音楽専門チャンネルVJを経て,1999年自作鉢に植栽した作品をPOPBONSAIと命名し発表,高木盆栽美術館主催BONSAIの器展入賞,第26回雅風展奨励賞受賞など2000年代を中心に活動した後,大学院での研究を開始。立教大学大学院異文化コミュニケーション研究科博士前期課程修了。法政大学大学院人文科学研究科国際日本学インスティチュート博士後期課程修了。学術博士。専門は比較文化,英語教育。著書:『英文版Pop Bonsai: Fun with Arranging Small Trees and Plants』(講談社インターナショナル,2004),『ボンサイダー養成講座101』(近代出版,2003)ほか。

※上記内容は本書刊行時のものです。

目次

はじめに

第一部 鉢植えの文化とは何か

第一章 西洋における鉢植えの文化概観

1 「アドニスの園」にみる紀元前の鉢植え
2 外来植物と鉢植え
3 ウォードの箱と鉢植え
4 労働者と鉢植え

第二章 古代日本における鉢植えの文化

1 古代中国から日本へ
壁画に残る鉢植え/日本への流入

2 日本最古の鉢植え──「二寸の橘」をめぐって
『続日本後紀』に残る記録/橘と「ときじくのかぐのこのみ」/橘と「常世國」/橘の鉢植えと祥瑞/遣唐使と橘/おわりに

第三章 中世日本における鉢植えの文化

1 文人志向と「盆山」
中国文人志向からの影響/「盆山」と「石」

2 絵巻物にみる「盆山」と「鉢の木」
花台の上の「盆山」/三つの共通点/縁側の「盆山」/絵巻物に描かれた「鉢の木」

3 作り手と謡曲〈鉢木〉
『蔭涼軒日録』が明らかにすること/山水河原者とは/謡曲〈鉢木〉/おわりに

第四章 近世日本における鉢植えの文化

1 古典園芸植物と鉢植え
江戸時代の花卉園芸と古典園芸植物/古典園芸植物と祥瑞

2 植木鉢の役割
誇示的容器としての植木鉢/近世の鉢植え生産者と樹形/おわりに

第五章 近代日本における鉢植えの文化

1 万国博覧会と鉢植えの文化
ウィーン万国博覧会と鉢植え/パリ万国博覧会と鉢植え

2 盆栽と鉢植え
「盆栽」とは何か/「盆栽」の読み方/「盆栽」の樹形/盆栽が意味すること

3 外国人がみた日本の鉢植えの文化
モースと鉢植え/横浜写真と鉢植え/写真画と浮世絵/英国新聞と鉢植え/外国人がみた日本の鉢植えとは

4 日本近代化と鉢植えの文化
西洋化と良妻賢母主義/良妻賢母主義と鉢植えの文化/教育と鉢植えの文化/ジェンダーと鉢植えの文化

第六章 現代社会における鉢植えの文化

1 空間と鉢植え
路地と鉢植え/トゥアンの空間論と鉢植え/室外「空間」における鉢植え/室内「空間」における鉢植え/デンマークのオフィスワーカーと鉢植え

2 代償の自然としての鉢植え
生きていない鉢植え/生きている鉢植え/鉢植えを育てる、という行為

第二部 表象としての鉢植え

第一章 絵画の中の鉢植え

1 『文法の寓意像』における鉢植え
2 蘭画『不忍池図』における鉢植え
3 油絵『イザベラ またはメボウキの鉢』における鉢植え

第二章 織物の中の鉢植え

1 豊臣秀吉所用「鳥獣文綴織陣羽織」における鉢植え
2 ペルシャ絨毯における鉢植え

第三章 映画の中の鉢植え

1 儚さを運ぶ植木鉢──『レオン』にみる鉢植えの含意
はじめに/古典的なパラダイム/鉢植えが初登場する場面/触るという行為/根が意味するもの/鉢植えが表象するもの/純愛と同居する未熟さ/マチルダとレオンと植木鉢/おわりに

2 鉢植えと子どもたち──『誰も知らない』における表象としての鉢植え
はじめに/雑草を育てる子どもたち/「鉢植え」ができるまで/「発見」と「凝視」のシーン/「種取り」のシーン/小さな大人/鉢植えが表象するもの/植物と子どもの親和性/おわりに

総括 鉢植えとは何か

あとがき
引用・参考文献
事項索引
人名索引