内容紹介

絵画、音楽、建築……『失われた時を求めて』では、実在・架空を問わず、数多の芸術作品が交響し、壮麗な物語を奏で上げる。一度は小説を放棄した作家が苦闘の末に見出した「文体(スタイル)」こそ、芸術を自在に織りなしつつ物語を紡ぎ出すことを可能にした。挫折から「文体」の発見に至るまでの軌跡、そしてその道程に潜む本質を深く、あざやかに描く。定評ある著者の集大成となるプルースト芸術論の決定版!

著訳者プロフィール

真屋 和子(マヤ カズコ)

兵庫県に生まれる。慶應義塾大学文学部卒業、慶應義塾大学大学院文学研究科仏文学専攻博士課程単位取得退学。文学博士号取得(慶應義塾大学)。
著書に、『プルースト的絵画空間――ラスキンの美学の向こうに』(水声社、2011年)、L’ « art caché » ou le style de Proust (Keio University Press, 2001)、共訳書に、アラン・コルバン編『身体の歴史』第Ⅱ巻「19世紀 フランス革命から第一次世界大戦まで」(藤原書店、2010年)などがある。

※上記内容は本書刊行時のものです。

目次

  はじめに 
  凡 例 

序章 動体建築としてプルーストを読む
 沈黙の深みに
 心の間歇
 パンゲの菱形
 破壊と再創造
 ロンドン・ナショナル・ギャラリー
 立体心理学
 ペイターの場合
 不滅の青空

第1章 マドレーヌ菓子と菩提樹のハーブティー
 プチット・マドレーヌ菓子の体験
 レオニー叔母のお茶――黄金のばら?
 両性具有のお茶?
 性・聖・生のハーブティー
 菩提樹に「隠された技法」

第2章 『ジャン・サントゥイユ』のなかのジョン・ラスキン
 プルーストの壁
 「見ること」と印象
 芸術とは─―ラスキン対ホイッスラー事件
 『敵をつくるための優雅な方法』
 びん一杯の絵の具を投げて
 万神殿での和睦

第3章 翻訳家プルーストの誕生と旅立ち
 アミアンへの旅
 〈黄金の聖母〉の微笑
 アミアンの〈慈愛〉とジョットの〈慈愛〉
 記憶の宝石箱
 フランボワイヤン様式の聖歌隊席
 プルーストの「スタイル」
 むすび

第4章 隠喩(メタフォール)─―モネからターナーへ
 文体模作「プルースト」
 アナロジーの奇跡
 文学のほう―─「撞着語法」から「隠喩」へ
 絵画のほう─―「曖昧さ」から「隠喩」へ
 文学と絵画―─「隠喩」への収斂
 諸能力の女王―─隠喩力
 むすび

第5章 プルーストとベートーヴェン─―ヴァントゥイユの「七重奏曲」
 「ベートーヴェンはお好きですか?」
 魂の存在─―ひとつの調子
 動く建築─―二つの魂 
 ロマン・ロラン批判
 ベートーヴェンとターナーの共演
 心の小鳥に歌わせる

第6章 そして、見出された時
 ラスキンとの出会い
 心の中への旅
 ジョットと日常の美
 ターナーと「隠喩」
 見出された「時」

  初出一覧
  あとがき
  文献一覧
  人名・作品名索引

書評掲載

「日本経済新聞」(2018年8月18日付)に紹介されました。

「読書人」(2018年9月7日号/小黒昌文氏・評)に紹介されました。