震災と地域再生
石巻市北上町に生きる人びと

四六判 / 378ページ / 上製 / 定価:3,000円 + 税 
ISBN978-4-588-61301-2 C1036 [2016年02月 刊行]

内容紹介

2011年3月11日の東日本大震災から5年、甚大な被害を受けた東北の地域社会はどこまで復興し、人びとの生活はどう変化したのか。震災前から続けられてきた、宮城県石巻市北上地区のフィールドワークをもとに、現地に生きる人びとの生業や協働のあり方をめぐる豊富な聞き書きと、高台移転についての現状分析・問題提起を収めた共同研究。地域の記憶に寄り添い、コミュニティの未来をさぐる。

著訳者プロフィール

西城戸 誠(ニシキド マコト)

北海道大学大学院文学研究科博士課程修了。博士(行動科学)。法政大学人間環境学部教授。社会運動論、環境社会学、地域社会学。著書:『再生可能エネルギーのリスクとガバナンス』(共編著、ミネルヴァ書房)、『用水のあるまち』(共編著、法政大学出版局)、『抗いの条件』(人文書院)など。

宮内 泰介(ミヤウチ タイスケ)

東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。博士(社会学)。北海道大学大学院文学研究科教授。環境社会学。著書:『かつお節と日本人』(共著、岩波書店)、『なぜ環境保全はうまくいかないのか』(編著、新泉社)、『開発と生活戦略の民族誌』(新曜社)、『半栽培の環境社会学』(編著、昭和堂)など。

黒田 暁(クロダ サトル)

北海道大学大学院文学研究科博士課程修了。博士(文学)。長崎大学大学院水産・環境科学総合研究科准教授。環境社会学、自然の合意形成論、地域資源論。著書:『用水のあるまち』(共編著、法政大学出版局)、『半栽培の環境社会学』(共著、昭和堂)、論文:「河川改修をめぐる不合意からの合意形成」(『環境社会学研究』13号)など。

※上記内容は本書刊行時のものです。

目次

はじめに 私たちの視点【西城戸誠/宮内泰介】
1 宮城県石巻市北上町の被害概要と地域社会
2 北上町への私たちのかかわり
3 本書の狙いと「聞き書き」という手法

第1章 北上町復興の概論・概史
1 北上町の概況【平川全機】
 1 北上町というところ
 2 橋浦地区の地理と歴史
 3 十三浜地区の地理と歴史
 4 北上町の生業──橋浦地区と十三浜地区
 5 契約講という組織
 6 暮らし

2 北上町の自然環境と地域社会【宮内泰介】
 1 北上川のヨシ原と人のかかわり
 2 多様な自然と地域による管理

3 東日本大震災の概況と北上町の被害【平川全機/黒田 暁】
 1 全国の概況
 2 震災当日の様子
 3 避難生活
 4 仮設住宅での暮らし
 5 被害のまとめ
 6 復興に向けた動き

第2章 住まいの再生と住民たち
はじめに【平川全機】

1 鈴木昭子さん「小さいなりにも魅力のある町に」【構成/平川全機】

2 及川正昭さん「ここに一生いるつもりで家も建てたし、直したんです」【構成/平川全機】

3 高台移転をめぐる制度・地域・世帯【平川全機】
 1 はじめに──新しい町並みを求めて
 2 高台移転の経緯──住民の動きと制度・計画
 3 高台移転に伴う諸問題
 4 集団移転を振り返って──今後の課題

第3章 なりわいを再生する ⑴ 十三浜の漁業
はじめに【黒田 暁】

1 千葉治彦さん「音だったり、匂いだったり。漁師は海のそばに暮らさないと仕事ができない」【構成/髙﨑優子】

2 西條 武さん「鵜の助を立ち上げたことは間違いではなかった。その実感を得たいんです」【構成/髙﨑優子】

3 佐々木昭一さん「漁業を再開するきっかけは、お客さんたちからのメッセージでした」【構成/宮内泰介】

4 選択と復興──十三浜の漁業復興をめぐる協業化の実践から【髙﨑優子】
 1 はじめに──人びとの選択と漁業の復興
 2 漁業復興をめぐる制度・議論
 3 漁業復興をめぐる選択
 4 十三浜の漁業復興のゆくえ

第4章 なりわいを再生する ⑵ 橋浦の農業
はじめに【黒田 暁】

1 大内 弘さん「いまは無理をしてでも請け負うことが、地域の農業を支えることにつながる」【構成/黒田 暁】

2 今野力也さん「五年後、十年後に地域農業の受け皿になるようなまとまりをつくるんだ」【構成/黒田 暁】

3 震災後の地域農業の展開と生業復興【黒田 暁】
 1 はじめに──震災後の地域農業のゆくえを考える
 2 北上町の生業としての農業
 3 東日本大震災による農地被害と復旧事業
 4 農地の復旧が農業の復興ではない
 5 震災後の地域農業の展開
 6 「農地集積」に適応すること
 7 おわりに──地域農業を支え合う

第5章 コミュニティを再生する
はじめに【西城戸誠】

1 佐藤尚美さん「自分が楽しくてやっている、ただそれだけです」【構成/髙﨑優子】

2 武山喜子さん「一体いつになったら落ち着くのだろう、と考えてしまいます」【構成/武中桂・庄司知恵子】

3 佐藤満利さん「ずっと伝わってきた神楽が、自分たちの代で終わるのはいやだった」【構成/髙﨑優子】

4 横山宗一さん「土地のものをまず充分に理解して、活用するということしかない」【構成/西城戸誠】

5 震災復興と女性──子育てを通した女性の営み【庄司知恵子/武中桂】
 1 「支援」と「活用」の狭間で動く女性たち
 2 「抱えているもの」があるなかで
 3 子育てを通した地域への気づき・地域の築き
 4 「場」の創出

6 コミュニティの再生へ【宮内泰介】
 1 はじめに──「コミュニティ」への思い?
 2 「伝統的」コミュニティ
 3 仮設住宅のコミュニティ
 4 さまざまな新しいコミュニティ
 5 移転をめぐる「コミュニティ」問題
 6 コミュニティのゆくえ

第6章 復興とは何だったのか?
はじめに【西城戸誠】

1 今野照夫さん「自分は生かされた人間。今やらなければいつやるんだ」【構成/宮内泰介】

2 日方里砂さん「北上に行って、私自身も変わったと思います」【構成/髙﨑優子】

3 北上町の復興応援隊からみる、地域サポート人材の役割と課題【図司直也/西城戸誠】
 1 北上町の復興応援隊に着目する理由
 2 被災地における地域サポート人材導入への流れ
 3 北上町における復興応援隊の展開──関係主体の構図
 4 復興応援隊の活動プロセス──主要隊員三名の実践
 5 北上町における復興応援隊の役割
 6 復興応援隊が抱いている今後の展望
 7 北上町における復興応援隊の課題

まとめにかえて 北上町の復興プロセスの現状と今後の展開【西城戸誠】
 1 はじめに──本書を振り返って
 2 復興メニューと地域住民の関係性──住民不在の復興プロセス
 3 制度に翻弄される個人──制度と生活の時間のズレ
 4 生業の復興における「強いられた主体化」の意味
 5 復興に向けた主体性の醸成とその支援
 6 実践的な社会調査の帰結と課題

あとがき

[著者](章順)
平川 全機(ヒラカワ ゼンキ)
北海道大学大学院文学研究科博士課程修了。博士(文学)。北海道大学大学院農学研究院札幌サテライト研究員。環境社会学、リスクコミュニケーション。論文:「継続的な市民参加における公共性の担保」(『環境社会学研究』11号)など。

髙﨑 優子(タカサキ ユウコ)
北海道大学大学院文学研究科博士後期課程在籍。環境社会学、資源管理論。論文:「自然資源管理のゆらぎを許容する地域社会」(『環境社会学研究』19号)、「自然を楽しむ作法」(『北海道大学大学院文学研究科研究論集』13号)など。

庄司 知恵子(ショウジ チエコ)
北海道大学大学院文学研究科博士課程修了。博士(文学)。岩手県立大学社会福祉学部講師。農村社会学、地域社会学。著書:『防災の社会学〔第二版〕』(共著、東信堂)、『防災コミュニティの基層』(共著、御茶の水書房)など。

武中 桂(タケナカ カツラ)
北海道大学大学院文学研究科博士課程修了。博士(文学)。北海道大学大学院文学研究科専門研究員。環境社会学。論文に「「実践」としての環境保全政策」(『環境社会学研究』14号)、「環境保全政策における「歴史」の再構成」(『社会学年報』37号)。

図司 直也(ズシ ナオヤ)
東京大学大学院農学生命科学研究科博士課程単位取得退学。博士 (農学)。法政大学現代福祉学部准教授。農業経済学、農山村政策論。著書:『地域サポート人材による農山村再生』 (筑波書房)、 『人口減少時代の地域づくり読本』 (共著、公職研) など。

書評掲載

「出版ニュース」(2016-4 中旬号)にて紹介されました。

「図書新聞」(2016年11月19日号/田中重好氏・評)にて紹介されました。

「地域社会学会年報」(2017年第29集)にて紹介されました。