冷戦と開発
自立経済建設をめぐる1950年代米韓関係

高賢来:著
A5判 / 398ページ / 上製 / 定価:5,700円 + 税 
ISBN978-4-588-64545-7 C3031 [2018年06月 刊行]

内容紹介

第二次大戦終結後から今日にいたる韓国経済の基本的構造は、1950年代の米国・アイゼンハワー政権および李承晩政権下の政策協議に由来する。60年代以降の国家資本主義的な開発国家化のなかで本格化した、重化学工業建設を重視する輸出指向の経済がいかに実現したのか、当時の米韓の政治外交文書や回顧録、各種刊行物をはじめとする膨大な資料を精査して跡づける労作。

著訳者プロフィール

高賢来(コウ ケンライ)

1981年東京都生まれ。早稲田大学大学院社会科学研究科修士課程修了。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。博士(学術)。現在、東京大学韓国学研究センター特任研究員。論文:「韓国輸出指向工業化の初期条件の形成──アイゼンハワー政権期米韓の為替改革をめぐる協議過程を中心に」(『国際政治』第184号、2016年3月)、訳書:金廣烈他(朴東誠監訳)『帝国日本の再編の二つの「在日」──戦前、戦後における在日朝鮮人と沖縄人』(明石書店、2010年)。

※上記内容は本書刊行時のものです。

目次

はじめに

序章 韓国経済発展史における1950年代の位置づけと米韓関係

第1節 問題提起
第2節 先行研究の整理
 1.1950年代の米韓関係
 2.米国外交史
第3節 分析の視角
 1.米国による経済開発重視政策の実行過程
 2.輸出指向工業化と国家主導型工業化
第4節 史料
第5節 本書の構成

第1章 朝鮮戦争後米国の対外経済政策と李承晩政権の
    自立型経済建設
第1節 朝鮮戦争停戦直後におけるアイゼンハワー政権の政策的基調 ⑴
    ドミノ理論、ニュールック戦略
 1.ドミノ理論
 2.アイゼンハワー政権のニュールック戦略と「援助よりも貿易」
第2節 朝鮮戦争停戦後におけるアイゼンハワー政権の政策的基調 ⑵
    開発主義
 1.CENISと開発主義的思考の形成
 2.アジア版マーシャルプランの頓挫とNSC5506
 3.冷戦の性格的変化とアイゼンハワー政権における開発主義の受容
第3節 李承晩の自立型経済建設と輸入代替工業化
小 結

第2章 1956年大統領選挙と経済発展の模索
第1節 1956年大統領選挙と米国の脅威認識
第2節 1956年大統領選挙と経済の争点化
第3節 李承晩政権の輸出促進政策と外資導入促進法
 1.韓国における自立型経済建設と1950年代後半の輸出促進の試み
 2.韓国政府による綿紡織産業の輸出産業化の取り組み
 3.李承晩政権による通商外交
 4.外資導入促進法の制定
小 結

第3章 韓国における政治的混乱と経済的小康状態
第1節 1958年の国会議員選挙と李承晩政権の強硬化
 1.大統領選挙後の与野党対立の激化と李起鵬の仲裁
 2.改憲論争と革命の脅威
 3.1958年国会議員選挙と李承晩政権の強硬化
第2節 米韓の為替レートをめぐる確執
 1.1955年の米韓為替レート協議と「25%条項」の制定
 2.韓国における経済安定化政策と為替制度改革の相克
 3.1950年代米国の対韓政策における物価安定化の位置づけ
第3節 開発借款導入をめぐる米韓協議
小 結

第4章 李承晩政権末期の混乱と経済開発の模索
第1節 大使館の与野党間調停と京郷新聞廃刊・曺奉岩の処刑
 1.駐韓米国大使館による与野党間調停
 2.民主党内の派閥争いと与野党間協議失敗の背景
 3.曺奉岩の処刑と米国による圧力行使の準備
第2節 ドレイパー使節団訪韓と輸出振興基金
第3節 韓国産業銀行と米国
第4節 産業開発委員会の設立と経済開発3カ年計画の作成
第5節 為替レート自動調整をめぐる米韓の確執
小 結

第5章 4月革命と米国の対韓政策
第1節 4月革命による李承晩政権の崩壊と米国の対韓政策の変化
 1.4月革命と米国の介入
 2.4月革命後の米国対韓政策の変化
第2節 新たな長期経済計画作成の動き
第3節 為替レートの適正化
小 結

第6章 アイゼンハワー政権の台湾に対する経済開発重視政策
第1節 第2次台湾危機と経済開発
第2節 国民党政府の開発諸政策
 1.第3次4カ年経済開発計画
 2.外資誘致
 3.国民党政府と輸出促進
第3節 韓国と台湾の比較

結 論
参考文献
あとがき
人名索引
事項索引