サピエンティア 64
積み重なる差別と貧困
在日朝鮮人と生活保護

金耿昊:著
四六判 / 390ページ / 上製 / 価格 4,180円 (消費税 380円) 
ISBN978-4-588-60364-8 C3321 [2022年04月 刊行]

内容紹介

在日朝鮮人と生活保護の問題は、戦後日本における排外主義の標的となってきた。はたしてそれは「不適正」な「特権」なのだろうか。さまざまな歴史資料から在日朝鮮人の苦難に満ちた暮らしを描きだし、生活保護制度からも排除されていった事実を明らかにする。南北分断、朝鮮戦争、北朝鮮への帰国、高齢者の無年金問題などを経て、現在まで続く民族差別と貧困の道のりをたどる。

著訳者プロフィール

金耿昊(キム キョンホ)

(김 경호)
1984年,神奈川県生まれ。韓国籍の在日朝鮮人三世。東京学芸大学教育学部卒業。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。博士(学術)。学習院大学国際教育研究機構PD共同研究員を経て,現在は横浜市史資料室調査研究員,東京学芸大学非常勤講師。専門は,在日朝鮮人史,日本近現代史。主な業績は,『在日朝鮮人資料叢書8 在日朝鮮人生活保護資料』全2巻(緑蔭書房,2013年),「解放後の在日朝鮮人運動における生活保護適用要求の台頭」『在日朝鮮人史研究』第40号,2010年,「戦後日本社会における生活保護制度の形成と在日朝鮮人」『人民の歴史学』第198号,2013年,「戦後日本における在日朝鮮人生活保護「問題」の現在と過去」(君島和彦編『近代の日本と朝鮮』東京堂出版,2014年),「1950年代前半における在日朝鮮人生活保護受給者の急増とその背景」『在日朝鮮人史研究』第45号,2015年,「戦後日本における在日朝鮮人の生活困窮問題と「地域」」『歴史評論』794号,2016年など。

※上記内容は本書刊行時のものです。

目次

序章 在日朝鮮人と生活保護
第一節 問題の所在
第二節 先行研究
第三節 課題と構成

第一章 解放と失業
第一節 解放直後の在日朝鮮人社会
第二節 民族組織の結成と生活安定の模索
第三節 南北分断と生活権の確保

第二章 朝鮮戦争下の生活問題
第一節 朝連の強制解散と生活保護
第二節 朝鮮戦争と失業闘争
第三節 「騒擾」の真相
第四節 民団の実態調査と救済活動

第三章 生活保護制度と外国人
第一節 敗戦直後の貧困者救済制度
第二節 生活保護法の改正
第三節 初期日韓会談における生活困窮者の取扱

第四章 生活保護獲得闘争の展開
第一節 被保護者数の急増
第二節 祖国防衛と生活権の擁護
第三節 合法的闘争としての展開
第四節 生活保護獲得闘争の停滞
第五節 民団の生活安定構想

第五章 生活保護行政の「適正化」対策
第一節 社会保障予算をめぐる論議
第二節 厚生省社会局発第三八二号通知
第三節 厚生省による実態の把握

第六章 外国人被保護世帯への全国一斉調査
第一節 一斉調査のさきがけ
第二節 一斉調査の全国的展開
第三節 「生活不能」のもとでの生存

第七章 民衆の生存危機と抗議陳情
第一節 「海外公民」としての行政交渉
第二節 全国一斉調査への抵抗
第三節 生活擁護月間闘争
第四節 右派民族団体と生活問題

第八章 帰国運動/帰還事業のなかの生活困窮者
第一節 長期在留のための生活正常化
第二節 帰国運動のはじまり
第三節 生活実態調査と帰国希望者調査
第四節 帰国実現と朝鮮人生活困窮者
第五節 民団の北送反対運動

終章 戦後日本における在日朝鮮人の生活困窮
第一節 差別と貧困の輻輳
第二節 生活問題のその後

参考文献
あとがき
初出一覧/巻末表/索引

書評掲載

「朝日新聞」(2022年05月21日/藤野裕子氏・評)に紹介されました。

「週刊金曜日」(第1384号、2022年07月08日発行/FUNI氏・評)に紹介されました。