新・カント読本

A5判 / 422ページ / 並製 / 定価:3,400円 + 税 
ISBN978-4-588-15089-0 C1010 [2018年02月 刊行]

内容紹介

超越論哲学の構築と永遠平和論を通じて、形而上学・倫理学・美学の近代200年を決定づけたカント。その思想の現代的意義を、前批判期から晩年までの各テーマに即し、最新の視点で気鋭の研究があぶり出す。西洋先進諸国以外の地域でのカント受容史や、正義論や生命倫理学への寄与にも光をあて、哲学史への鋭い解釈を提示するコラムが多面的な哲学者像を映し出す。詳細年譜付の最良の手引き。

目次

序論 グローバル化時代の新たなカント像【牧野英二】

第一部 カント哲学のグローバルな展開
1 フランス語圏のカント受容──「人間」以後の超越論哲学の行方【宮﨑裕助】
2 英米圏のカント研究──経験論の伝統【城戸 淳】
3 スペイン語圏のカント研究──スペイン、メキシコでの展開【ドゥルセ・マリア・グランハ・カストロ】
4 イスラーム文化圏のカント研究──イランにおける受容と展開【セイェド・アリー・マフムーディ】
5 漢字文化圏のカント研究──その受容史と意義および課題【牧野英二】
6 ロシアのカント研究──グリガ以後、一九九六年から二〇一七年まで【ダニール・アロンソン】
7 ドイツ語圏における現在のカント研究──直面する課題と論争【ハイナー・F・クレンメ】
【コラム①】夏目漱石とカント──理性批判の世界反転光学【望月俊孝】

第二部 カント哲学の新しい読み方

批判哲学への途上
8 「常識」の概念とカントの思想形成──ドイツ啓蒙思想とスコットランド啓蒙思想からの影響 【長田蔵人】
9 ヴォルフの形而上学とその批判者たち──十八世紀後半ドイツにおける形而上学の展開【佐藤慶太】
【コラム②】カントとヘーゲル──「観念論」の再検討【加藤尚武】

理論哲学の主要論点
10 身体と時間・空間論──「直観の形式」と非ユークリッド幾何学【植村恒一郎】
11 カテゴリーの演繹論と図式論──超越論的真理概念をめぐって【鵜澤和彦】
12 『純粋理性批判』の自由論──自由のとしての「いま」【湯浅正彦】
【コラム③】新カント学派とは──歴史的再検証【大橋容一郎】

実践哲学の中心課題
13 道徳法則と法の定言命法──『人倫の形而上学』と倫理学の課題【小野原雅夫】
14 純粋理性宗教と歴史的信仰の相克──『宗教論』と「隠されたアンチノミー」の存在【大森一三】
15 カントと悪の問題──人間はなぜ現に悪を為してしまうのか【中島義道】

【コラム④】カントとハイデガー──心の闇を前にして【高田珠樹】

美学と目的論の射程
16 『判断力批判』における「自然の技巧」の体系的意義──解釈学的観点から【相原 博】
17 『判断力批判』における超越論的哲学の新たな可能性──反省的判断力の根源性【円谷裕二】

【コラム⑤】パースとカント プラグマティズムとカテゴリー論【伊藤邦武】

自然哲学と晩年の思想
18 自然哲学と自然の形而上学──カント自然哲学の変遷【犬竹正幸】
19 『オプス・ポストゥムム』のコンテクスト──遺稿著作はカント最晩年の思想か?【加藤泰史】

第三部 現代の哲学からみたカント哲学

カントと応用倫理学
20 カント倫理学と生命倫理──「人間の尊厳」という価値【蔵田伸雄】
21 カントにおける生と死の倫理学──有限な理性の奇妙な運命【三谷尚澄】
【コラム⑥】カントとエコロジカルな心の問題──生態学的観点から【河野哲也】

カントの永遠平和論・正義論
22 カントの正義論と人権論の射程──リベラリズムとリバタリアニズムの間【宇佐美公生】
23 永遠平和と世界市民主義──国境を超える正義【石田京子】

【コラム⑦】カント歴史哲学と物語り論──高坂正顕・坂部恵を導きの糸に【野家啓一】

カントと現代の言語哲学
24 コミュニケーション論の現代的意義──カントとハーバーマス【舟場保之】
25 超越論的記号論と価値の超越論的論証──シェーンリッヒとコースガード【近堂 秀】

カント年譜 物語風に【菅沢龍文/小谷英生】

関連書籍

『カントの自由論』
ヘンリー・E. アリソン:著
『二人称的観点の倫理学』
スティーヴン・ダーウォル:著
『カント入門講義 〈新装版〉』
H.M.バウムガルトナー:著
『ハイデガー読本』
秋富 克哉:編
『サルトル読本』
澤田 直:編
『リクール読本』
鹿島 徹:編