小局からのお知らせ

「第10回 法政大学出版局学術図書刊行助成」
選考結果のお知らせ

法政大学出版局では、2014年より「法政大学出版局学術図書刊行助成制度」を設け、全国の各大学在職の研究者および民間研究者を対象に、優れた学術的価値を有する専門的研究成果の募集を行っております。

2023年も、春に第10回目の募集を行い、局内および小局理事会における厳正な審査と、外部の審査員による評価を経て、本年度は下記2点の論文作品を刊行助成対象とすることに決定しました。

(1)
著者:閔東曄氏
論文名:『植民地朝鮮と〈近代の超克〉──戦時期帝国日本の思想史的一断面』

《選考理由》
「戦時期に大きな影響力を持っていた京都学派の「近代の超克」をめぐる議論を、同時代の植民地朝鮮との関係に焦点を当てて読み直すことで、一国史的な枠組みを超え、日朝思想交流史研究の新たな地平を開こうとする画期的論考。東亜共同体論や「近代の超克」論に関して、日本語・朝鮮語の文献を横断的に扱い、日朝双方の知識人を同一平面に収めつつ論じることで、従来の研究よりもさらに立体的な思想史を記述することに成功している。いまなお強固に残存する植民地主義の負の遺産の乗り越え、および東アジアの歴史認識共有に寄与する研究として推奨できる。」

(2)
著者:高橋和則氏
論文名:『エドマンド・バークの国制論』

《選考理由》
「本論は、英国コモンロー体系の国制思想史を縦軸、同時代のアメリカ革命とフランス革命をめぐる論争を横軸とし、その交差する点にバークの思想的実存を位置づけ、名誉革命体制下における法律家・歴史家としてのバークと、アメリカ革命とフランス革命という時代を象徴する事件に対峙した政治家・思想家としてのバークを、これまでにない斬新な切り口で総合的に描いている。初期の思想形成から、アメリカ独立をめぐるプライス、ペインらとの論争、フランス革命をめぐるシェイエスらとの論争まで、現代まで続く対立軸が見通しよくまとめられており、すぐれた構成力で読ませる力作となっている。」

書籍としての刊行は、2024年春〜夏を予定しております。
このほか、少なからぬ力作論考のご応募をいただきましたが、今回はご期待に添うことができませんでした。ご応募いただきましたすべての皆さまに、心より感謝を申し上げます。
なお、次年度以降も引きつづき、本「刊行助成制度」を実施してまいります。2024年3月下旬以降に、当ウェブサイト上にて詳細を告知する予定ですので(締め切りは5月末)、積極的なご応募をお待ちしております。

2023年 10月11日 一般財団法人 法政大学出版局