小局からのお知らせ

終戦の日にあらためて戦争と世界について考える

戦中戦後の日本

帝国日本の拡張と崩壊

河西 晃祐:著『帝国日本の拡張と崩壊:「大東亜共栄圏」への歴史的展開
2012年03月 刊行

近代日本の南方進出は、経済的な進出に始まり、思想家・知識人の南進「論」、外務省など官僚機構の関与、国際状況の変化、さらには徴用作家までもが動員された「大東亜共栄圏」の形成というように、単一の学問分野では捉えきれない多様な側面をもっている。本書はその展開を、近年の帝国史研究やポスト植民地研究など隣接諸分野の成果を組み込みながら通史的かつ総合的に考察する。

ウォー・ギルト・プログラム

賀茂 道子:著『ウォー・ギルト・プログラム:GHQ情報教育政策の実像
2018年08月 刊行

占領期に連合国軍総司令部は、戦争の有罪性を日本人に認識させるための政策「ウォー・ギルト・プログラム」を実施した。のちに江藤淳らはこれを、侵略戦争観を日本国民に植え付けるためのもので、洗脳であるという立場をとった。本書は、膨大な資料に基づいてプログラムで最も重視された点や内容の変遷などを詳細に検証し、従来の説に異論を唱える意欲作である。

天皇の韓国併合

新城 道彦:著『天皇の韓国併合:王公族の創設と帝国の葛藤
2011年08月 刊行

1910年から47年まで、日本には王公族という特殊な身分が存在した。韓国併合と同時に天皇が韓国皇室のために創設した身分で、皇族ではないが華族よりも上に位置づけられた。朝鮮の表象ともいえる彼らを、なぜ破格の費用をかけて維持したのか。葬儀や婚礼を事例に、朝鮮統治の安定と大義名分をかけて奔走し、皇室典範まで改定した日本側の様子を膨大な資料から鮮やかに読みとく。

植民地を読む

星名 宏修:著『植民地を読む:「贋」日本人たちの肖像
2016年04月 刊行

敗戦時、軍人を除き30万以上の日本人が台湾で暮らしていた。自分は被植民者より優れた存在だと考える人々はどんな日常生活を送り、それを表現したのだろうか。そもそも「日本人」とは誰のことだろうか。ほとんど無名の「日本人」作家たちの小説やラジオドラマを通じて、帝国日本の集団的な空想の一端を明らかにする。国民を担保するのは「国語」か旅券か血液か。

平和なき「平和主義」

権 赫泰:著, 鄭 栄桓:訳『平和なき「平和主義」:戦後日本の思想と運動
2016年07月 刊行

「唯一の被爆国」として日本は戦後70年ものあいだ平和を守ってきたとされるが、ほんとうにそうなのだろうか。朝鮮戦争、ベトナム反戦運動、日米安保や原発の問題などを取り上げ、アジア諸国や国内における他者と関わるうえで丸山眞男をはじめ日本人が何と向き合ってこなかったのか、韓国人研究者が考察する。

沖縄〜東アジア

戦後沖縄と米軍基地

平良 好利:著『戦後沖縄と米軍基地:「受容」と「拒絶」のはざまで 1945~1972年
2012年10月 刊行

「沖縄の米軍基地問題」は、半世紀以上にもわたって続く複雑な問題である。その歴史的起源と展開はどのようなものであったか。本書は、米軍基地が建設された1945年から沖縄返還が実現した1970年代初頭までの時期を対象に、その使用、拡張、縮小といった軍用地問題に対する沖縄の政治指導者と日米両国の指導者らの認識と行動を具体的に考察し、沖縄の米軍基地問題の本質を問い直す。

米国の沖縄統治と「外国人」管理

土井 智義:著『米国の沖縄統治と「外国人」管理:強制送還の系譜
2022年02月 刊行

1945~72年まで沖縄は米国の統治下にあった。時に武力を伴うその強引な支配は、「銃剣とブルドーザー」という言葉でも有名である。しかし、米国が人々を戸籍で琉球住民と非琉球人に区分したことは知られていない。非琉球人は現在の外国人と同様に扱われ、入管制度に違反すれば日本本土に強制送還された。非琉球人管理制度がつくられた歴史的背景を考究する。

未完の平和

李 東俊:著『未完の平和:米中和解と朝鮮問題の変容 1969~1975年
2010年12月 刊行

冷戦の終結から20年が経過したにもかかわらず、朝鮮半島をめぐる緊張状態はますます高まっている。なぜ朝鮮半島は「冷戦の孤島」として取り残されてしまったのか。本書は、1970年代前半の米中和解と南北対話という二つの緊張緩和の有機的連関を主に米韓の膨大な一次資料にもとづいて考察し、朝鮮半島において分断国家が固定化されていく過程と、その統一に向けての展望を探る。

歴史としての日韓国交正常化Ⅰ〈新装版〉

李鍾元:編著, 木宮 正史:編著, 浅野 豊美:編著『歴史としての日韓国交正常化Ⅰ〈新装版〉:東アジア冷戦編
2020年02月 刊行

14年近くに及んだ日韓国交正常化交渉は外交史に残る難交渉のひとつとなった。本書は、日韓会談の最大の焦点だった「請求権問題」が「経済協力方式」で決着が図られる過程、日本の国内政治が日韓会談に与えた影響、北朝鮮という要因が日韓会談と日朝関係に及ぼした影響などについて、近年、日韓両国で公開された数万枚の外交文書をもとに歴史的な解明をめざす国際共同研究の成果。

歴史としての日韓国交正常化Ⅱ〈新装版〉

李鍾元:編著, 木宮 正史:編著, 浅野 豊美:編著『歴史としての日韓国交正常化Ⅱ〈新装版〉:脱植民地化編
2020年02月 刊行

14年近くに及んだ日韓国交正常化交渉は外交史に残る難交渉のひとつとなった。本書は、日韓会談の最大の焦点だった「請求権問題」が「経済協力方式」で決着が図られる過程、日本の国内政治が日韓会談に与えた影響、北朝鮮という要因が日韓会談と日朝関係に及ぼした影響などについて、近年、日韓両国で公開された数万枚の外交文書をもとに歴史的な解明をめざす国際共同研究の成果。

アメリカの影のもとで

藤原 帰一:編著, 永野 善子:編著『アメリカの影のもとで:日本とフィリピン
2011年06月 刊行

20世紀、アメリカはフィリピンを事実上併合し、続くアジア太平洋戦争によって、さらに日本が大東亜共栄圏の名のもとにフィリピンを侵略した。その後の敗戦にともない日本は、6年にもおよびアメリカの占領下に置かれることになる。本書は、このアメリカによる支配という経験がそれぞれの政治・社会・文化・歴史に与えた影響を、日比米の研究者がともに比較考察する画期的試み。

朝鮮独立への隘路

鄭栄桓:著『朝鮮独立への隘路:在日朝鮮人の解放五年史
2013年03月 刊行

日本の敗戦後、在日朝鮮人は「独立国民」の地位を認められることはなく、帝国臣民から外国人になったわけではなかった。日本国民からは排除されたが、米国人などと同等な外国人にもなれなかった。本書は、朝鮮戦争が始まるまでのGHQや日本政府による治安政策と人びとの抵抗、民族運動の実像を膨大な史料を用いて描きだす。民族の解放はいかに封じこめられたのか。

共生への道と核心現場

白永瑞:著, 趙慶喜:監訳, 中島 隆博:解説『共生への道と核心現場:実践課題としての東アジア
2016年07月 刊行

「核心現場」とは、沖縄、朝鮮半島、台湾のように歴史的矛盾が凝縮された「分断」の場所であるとともに構造的差別において苦しみのあるすべての現場を指す。東アジアの分断構造を解体し、和解を導くために、「共感と批評としての歴史学」を、さらには既存の学術制度を超える「社会人文学」を提唱する。相互憎悪を超えて、そこに生きる人々の苦しみを受けとめ、人文学という学問領域も刷新し、あらゆる現場で実践的な共生への道を提示する。

世界大戦とその余波

アードルフ・ヒトラー

ハンス=ウルリヒ・ターマー:著, 斉藤 寿雄:訳『アードルフ・ヒトラー:ある独裁者の伝記
2023年04月 刊行

入試に失敗し職にも就かず鬱々と暮らしていた一人の名もない青年は、またたく間に大衆の指導者に上りつめ、第一次大戦で疲弊していた人びとの熱狂を呼ぶ。なぜ政治的に未知数の人間がこれほど強大な権力を手にし、とてつもない破壊を引き起こしたのか。本書はその生涯を、徹底した自己演出と、部下を巧みに競わせる政治スタイルに着目して描き出す。最新の研究成果を反映した伝記の決定版。

アニメとプロパガンダ

セバスチャン・ロファ:著, 古永 真一:訳, 中島 万紀子:訳, 原 正人:訳『アニメとプロパガンダ:第二次大戦期の映画と政治
2011年07月 刊行

第二次大戦期に開花した総合芸術であるアニメーション映画は、枢軸国/連合国を問わず、世界各国で戦時動員の手段となった。日独伊および米英仏ソ中を中心に、一九三〇〜四〇年代に制作されたおびただしい数の宣伝映画作品を歴史の忘却から掘り起こし、草創期アニメ界の群像を活写するとともに、そのイデオロギーと詩学を読み解く稀少な研究。刊行後好評を博す原本に多数の図版を加えた日本語増補版。

冷戦史の再検討

菅 英輝:編著『冷戦史の再検討:変容する秩序と冷戦の終焉
2010年01月 刊行

今年は「冷戦の終結」から20年を迎える。第二次世界大戦後、40年以上に及んだ米ソを中心とする国際政治の対立と緊張は、多大な物的・人的コストをともなうものだった。本書は、海外の筆者をまじえ、朝鮮戦争、ヴェトナム戦争、中ソ対立、米中和解、ベルリンの壁の崩壊など、東西対立からデタント、そして冷戦の終焉にいたる国際秩序の変容過程を実証的に再検討する共同研究の成果。

歴史的賠償と「記憶」の解剖

ジョン・トーピー:著, 藤川 隆男:訳, 酒井 一臣:訳, 津田 博司:訳『歴史的賠償と「記憶」の解剖:ホロコースト・日系人強制収容・奴隷制・アパルトヘイト
2013年11月 刊行

かつて賠償という語は、国家間の戦争の賠償を意味するものだったが、いまでは国家が民族集団や個人に対して行なった残虐行為や犯罪に対するあらゆる形の対応を包含するようになった。本書は、それぞれの地域の歴史的賠償が、いかなる共通の時代背景をもち、先行する歴史的経験にどのような影響を受けてきたかを具体的な事例をもとに比較考察し、賠償政治の見取り図を提示する。

市民力による防衛

ジーン・シャープ:著, 三石 善吉:訳『市民力による防衛:軍事力に頼らない社会へ
2016年07月 刊行

武器を持たずに外国の侵略に抵抗し、国内の独裁体制を抑止・打倒することは可能か。国家ではなく市民ひとりひとりを主体とする非暴力抵抗運動により悪しき体制の権力の源泉を無力化し、軍事システムを超える武器なき防衛体制を実現するための道筋を示す。「アラブの春」においても大きな注目を集めた「非暴力の政治学」の先駆的研究者による、憲法第9条を考えるうえでも必須の書。

パレスチナの民族浄化

イラン・パペ:著, 田浪 亜央江:訳, 早尾 貴紀:訳『パレスチナの民族浄化:イスラエル建国の暴力
2017年11月 刊行

イスラエル人の歴史家である著者は、イギリスやイスラエルの軍事・外交文書や政治家の日記、パレスチナ人の証言など多彩な資料を駆使し、現代世界や中東情勢に影響を与え続ける組織的犯罪の真相を明らかにする。あのときパレスチナ全土でどのように住民は殺され、郷土を追われたのか。なぜ世界はそれを黙認したのか。当時の緊迫した状況や錯綜する思惑、追いつめられる人々の姿を描き、現在の不条理を問う。

植民地独立の起源

池田 亮:著『植民地独立の起源:フランスのチュニジア・モロッコ政策
2013年02月 刊行

1960年は次々にアフリカ諸国が独立を果たし,「アフリカの年」と呼ばれた。その引き金を引いたのが、1956年に独立したチュニジアとモロッコである。フランスはなぜどこよりも早く独立を承認するという政治的選択をし、ヨーロッパ帝国の解体を導いたのか。旧植民地の支配層と英米や国連、世界各国を巻き込んだ駆け引きの一部始終を、膨大な資料から浮かび上がらせる。