平良好利著『戦後沖縄と米軍基地』が、「中日新聞」(2016年8月14日付/吉田司氏・評)にて紹介されました。
2016年 のアーカイブ
ギュンター・アンダース著/青木隆嘉訳『核の脅威』が、「図書新聞」(2016年8月27日号/佐藤嘉幸氏・評)にて紹介されました。
木下千花著『溝口健二論』が「週刊読書人」(2016年8月12日号/福間健二氏・評)に紹介されました。
星名宏修著『植民地を読む』が「沖縄タイムス」(2016年8月13日付、評者・又吉盛清)に紹介されました。
一島英治著ものと人間の文化史『麹』が「河北新報」(2016年6月12日付、評者・小林直之氏)に紹介されました。
ギュンター・アンダース著/青木隆嘉訳『核の脅威』が「公明新聞」(2016年8月8日付)に紹介されました。
二クラス・ルーマン/土方透ほか訳『社会の宗教』が「出版ニュース」(2016年8月中旬号)に紹介されました。
中村英樹『いきのびるアート』が「図書新聞」(2016年8月6日号/宮田徹也氏・評)にて紹介されました。
イェール大学で博士号(Ph.D)を取得。博士論文は後に『禅の行為/禅の人格』(Zen Action/ Zen Person, University of Hawai‘i Press, 1981)として刊行される。オハイオ州立大学の比較文化学教授として長く宗教学、哲学、東アジア学を講じ、2015年に退職。現在は特別名誉教授。邦訳された著書に『神道』(衣笠正晃訳、守屋友江監訳、ちくま学芸文庫、2014年)がある。2011年に共編『日本哲学原典翻訳資料集』(Japanese Philosophy: A Sourcebook, eds. James W. Heisig, Thomas P. Kasulis & John C. Maraldo)を刊行、現在は『日本哲学史』(仮題)を執筆中。 法政大学国際文化学部教授。フルブライト奨学生としてコロンビア大学大学院東アジア言語文化研究科に留学し、博士論文提出資格(M.Phil)を取得。東京大学大学院博士課程単位取得満期退学。専門は比較文学。主な著作に、「幽玄・象徴・多義性:上田敏の詩学をめぐって」(『言語と文化』8号、2011年)、「国文学者・久松潜一の出発点をめぐって」(『言語と文化』5号、2008年)、和辻哲郎『初版 古寺巡礼』(解説執筆、ちくま学芸文庫、2012年)などがあり、訳書に、トーマス・カスーリス『神道』(ちくま学芸文庫、2014年)、ジャック・デリダ著、ジョン・D・カプート編『デリダとの対話:脱構築入門』(共訳、法政大学出版局、2004年)、ハルオ・シラネ『芭蕉の風景 文化の記憶』(角川書店、2001年)がある。 名古屋外国語大学現代国際学部教授。東京大学名誉教授。表象古典文化論専攻。主な著作に、『クリティカル・モーメント:批評の根源と臨界の認識』(名古屋大学出版会、2010年)、『キケロ:ヨーロッパの知的伝統』(岩波新書、1999年)、共著としてClassics and National Cultures (Oxford University Press, 2010), Platonism and the English Imagination (Cambridge University Press, 2005)、『ムーサよ、語れ:古代ギリシア文学への招待』(三陸書房、2003年)などがあり、訳書に、『エラスムス=トマス・モア往復書簡』(共訳、岩波文庫、2015年)、ジョージ・スタイナー『師弟のまじわり』(岩波書店、2011年)などがある。 法政大学出版局 ホウセイダイガクシュッパンキョク 目次
日本語版への序文
謝辞
序章
第一章 文化的指向性
第二章 インティマシーとは何か
第三章 インテグリティーとは何か
第四章 世界観としてのインティマシーとインテグリティー
認識論、分析と議論、形而上学
第五章 インティマシーとインテグリティーの規範的領域
美学、倫理学、政治学
第六章 異文化の衝突
インティマシーとインテグリティーが衝突するとき
インティミットな書誌
解説「文化的指向性」論の基底と射程
訳者あとがき
索引 なぜ文化をめぐって衝突や軋轢、摩擦が起きるのか。そして、日本人の問いは、西洋における哲学的問いの多くとは、なぜ異なっているのか。あらゆる文化に共存する二種類の概念を縦横に論じ、従来の日本人論や日本文化論、比較文化論や異文化コミュニケーション論の枠組みから、さらに文化決定論の限界を超えて、画期的な「文化哲学」を提示する。異文化間に存在する根源的問題に迫り、グローバル化なればこそ人文学の不可欠なことを明証する。
対馬美千子著『ハンナ・アーレント』が「現代詩手帖」(2016年8月号/倉田比羽子氏・評)にて紹介されました。
秋富克哉ほか編『続・ハイデガー読本』が「週刊読書人」(2016年7月22日号/須藤訓任氏・評)にて紹介されました。
凡 例
主要著作の略号一覧
第Ⅰ部 リクールと二十一世紀の世界
1 リクールと歴史の理論──哲学的歴史理論の射程【鹿島 徹】
2 リクールと物語り論──「分析哲学的ヴァリアント」を軸に【野家啓一】
3 リクールと現代社会──われわれは何を希望することが許されるか【堀江宗正】
4 リクールと政治哲学──政治的なものの根源に向けて【川上洋平】
5 リクールと歴史修正主義論争──惨事の比較は不道徳か【川口茂雄】
6 リクールと神学──「哲学」か「神学」か?【佐々木啓】
第Ⅱ部 リクールと現代哲学
7 現代思想の交差点としてのリクール 二十世紀の哲学的証人【杉村靖彦】
8 リクールとナベール──「根源的肯定」から「証し」へ【越門勝彦】
9 リクールとレヴィナス──レヴィナス解釈の独自性と「誇張法」【関根小織】
10 リクールとデリダ──「隠喩」論争が拓いたもの【合田正人】
11 リクールとフッサール──独断的形而上学の超克をめぐって【長坂真澄】
12 リクールとハイデガー──カント『純粋理性批判』と純粋想像力の第三項性【川口茂雄】
13 リクールとヤスパース──実存哲学の一展開【大沢啓徳】
14 リクールとベンヤミン──物語の衰退をめぐって【鹿島 徹】
15 リクールとアーレント──「赦し」を中心に【森 一郎】
16 リクールと分析哲学──「自己」に至る迂回路としての【長門裕介】
〈コラム①〉リクールから教えられたこと【杉村靖彦】
第Ⅲ部 リクールと社会科学
17 アナール派歴史学の変遷──社会史と物語【渡辺和行】
18 テクスト解釈学と文化社会学──「行為をテクストとみなす」という方法をめぐって【佐藤成基】
19 〈記憶の場〉とコメモラシオン──歴史研究からみたリクール【長井伸仁】
20 ケアの倫理をめぐる思想状況──個人を支える集合体の形成【原山 哲】
21 文学教育と物語的自己同一性──自己性のダイナミクスを視座として【荒木奈美】
第Ⅳ部 リクールと近代哲学
22 リクールとベルクソン──生の哲学の影【藤田尚志】
23 リクールとディルタイ──ディルタイの解釈学は「ロマン主義的解釈学」なのか?【瀬戸口昌也】
24 リクールとマルクス──リクールはマルクスをどう読んだか【川﨑惣一】
25 リクールとメーヌ・ド・ビラン──身体に内在する〈他性〉の再発見【越門勝彦】
26 リクールとスピノザ──迂回の哲学としての『エチカ』【朝倉友海】
27 リクールとデカルト──第四省察の自由論を現象学的に再解釈する【川口茂雄】
〈コラム②〉神の名、命の贈与の神学【久米 博】
主要著作解題
キーワード解説
リクール略年譜
人名索引 20世紀後半の哲学界にあって、実存哲学や精神分析、構造主義や分析哲学との幅広い思想的交渉を保ちつつ、他に類を見ない独自の地歩を築いたポール・リクール。歴史=物語の解釈学で知られる第一級の哲学者が残した膨大な仕事をテーマごとに掘り下げ、その驚くべき多面性を一望のもとに概観する、最高の執筆陣による本邦初の読本。主要著作解題とキーワード解説、略年譜も付す。 野家啓一(のえ・けいいち) 1949年生。東北大学名誉教授・総長特命教授。著書:『物語の哲学』『歴史を哲学する』(以上,岩波現代文庫),『科学哲学への招待』(ちくま学芸文庫)。
堀江宗正(ほりえ・のりちか) 1969年生。東京大学准教授。著書:『歴史のなかの宗教心理学』(岩波書店),論文:「リクール物語理論の射程」(『フランス哲学思想研究』第4号)。
川上洋平(かわかみ・ようへい) 1979年生。専修大学講師。著書:『ジョゼフ・ド・メーストルの思想世界』(創文社),共著:『共和国か宗教か,それとも』(白水社)。
佐々木啓(ささき・けい) 1959年生。北海道大学教授。共著:『聖と俗の交錯』(北海道大学出版会),共訳書:『リクール聖書解釈学』(ヨルダン社),『エリアーデ=クリアーヌ往復書簡』(慶應義塾大学出版会)。
杉村靖彦(すぎむら・やすひこ) 1965年生。京都大学准教授。著書:『ポール・リクールの思想』(創文社),共編著:Philosophiejaponaise(J. Vrin),訳書:ナベール『悪についての試論』(法政大学出版局)。
関根小織(せきね・さおり) 1971年生。青山学院大学准教授。著書:『レヴィナスと現れないものの現象学』(晃洋書房)。訳書:リクール『別様に』(現代思潮新社)。
合田正人(ごうだ・まさと) 1957年生。明治大学教授。著書:『フラグメンテ』(法政大学出版局),『思想史の名脇役たち』(河出書房新社),訳書:リクール『レクチュール』(みすず書房)。
長坂真澄(ながさか・ますみ) 1976年生。群馬県立女子大学准教授。論文:「知の不可能性において語る声──ジャック・デリダ『声と現象』再読」(『宗教哲学研究』32号)。
大沢啓徳(おおさわ・ひろのり) 1975年生。早稲田大学非常勤講師。論文:「〈愛の闘争〉か,〈歓待〉か」(『実存思想論集』28号),共訳書:リクールほか『カール・ヤスパースと実存哲学』(月曜社)。
森 一郎(もり・いちろう) 1962年生。東北大学教授。著書:『死を超えるもの』(東京大学出版会),共編著:『続・ハイデガー読本』(法政大学出版局),訳書:アーレント『活動的生』(みすず書房)。
長門裕介(ながと・ゆうすけ) 1987年生。文京学院大学ほか非常勤講師。共著:『入門・倫理学の歴史』(梓出版社),論文「実存の哲学と人生の意味の哲学」(『現代思想』2014年2月号)。
渡辺和行(わたなべ・かずゆき) 1952年生。奈良女子大学教授。著書:『近代フランスの歴史学と歴史家』(ミネルヴァ書房),『フランス人民戦線』(人文書院),『ド・ゴール』(山川出版社)。
佐藤成基(さとう・しげき) 法政大学教授。著書:『ナショナル・アイデンティティと領土』(新曜社),『国家の社会学』(青弓社),共編著:『国際社会学』(有斐閣)。
長井伸仁(ながい・のぶひと) 1967年生。東京大学准教授。著書:『歴史がつくった偉人たち』(山川出版社),共訳書:ノラ編『記憶の場』(岩波書店)。
原山 哲(はらやま・てつ) フランス労働経済学/社会学研究所研究員。共訳書:ブルジェール『ケアの社会──個人を支える政治』(風間書房),同『ケアの倫理──ネオリベラリズムへの反論』(白水社)。
荒木奈美(あらき・なみ) 1969年生。札幌大学准教授。論文:「大江健三郎『懐かしい年への手紙』論」(『札幌大学総合論叢』35号),「川上弘美『神様』『草上の昼食』論」(『ユリイカ』2013年9月号)。
藤田尚志(ふじた・ひさし) 1973年生。九州産業大学准教授。共編著:『愛・性・家族の哲学』(ナカニシヤ出版),Tout ouvert: L’évolution créatrice en tous sens (Olms),共著:『共にあることの哲学』(書肆心水)。
瀬戸口昌也(せとぐち・まさや) 1964年生。大阪教育大学教授。共著:『新しい知の世紀を生きる教育』(一莖書房),論文:「論理性と心理性の間」(日本ディルタイ協会『ディルタイ研究』20号)。
川﨑惣一(かわさき・そういち) 1971年生。宮城教育大学教授。論文:「リクール正義論の意義と射程」(『宮城教育大学紀要』),訳書:リクール『イデオロギーとユートピア』(新曜社)。
朝倉友海(あさくら・ともみ) 1975年生。北海道教育大学准教授。著書:『概念と個別性──スピノザ哲学研究』(東信堂),『「東アジアに哲学はない」のか──京都学派と新儒家』(岩波書店)。
久米 博(くめ・ひろし) 1932年生。元・立正大学教授。著書:『人間学としてのリクール哲学』(せりか書房),『テクスト世界の解釈学』,訳書:リクール『時間と物語』『記憶,歴史,忘却』(以上,新曜社)。
[主要著作解題/キーワード解説]
奈良雅俊(なら・まさとし) 1959年生。慶應義塾大学教授。共著:『入門・医療倫理Ⅰ』(勁草書房),論文:「マルセルの哲学における実存から存在への展開について」(『哲学』第87集)。
山田智正(やまだ・ともあき) 1982年生。リクール文庫協力研究員・レンヌ第二大学非常勤講師。論文:「最晩年のリクールの思索におけるテヴェナ「絶対なき哲学」の受容(仏文)」(『RThPh』146号)。
長谷川琢哉(はせがわ・たくや) 1975年生。親鸞仏教センター研究員。論文:「リクールにおける正義の逆説と赦し」(『宗教哲学研究』28号),共訳書:ルフラン『十九世紀フランス哲学』(白水社)。
藤田俊輔(ふじた・しゅんすけ) 1986年生。龍谷大学非常勤講師。論文:「ヤスパースの寛容論」(『倫理学研究』45号),「ヤスパースにおける「自己化」の問題をめぐって」(『文明と哲学』8号)。
櫻井一成(さくらい・いっせい) 1981年生。日本学術振興会特別研究員。論文:「人間の自由と物語──『意志的なものと非意志的なもの』と『時間と物語』の交叉的読解を通じたリクール哲学の研究」(『美学』244号)。
山内 誠(やまうち・まこと) 1977年生。若狭医療福祉専門学校非常勤講師。論文:「ナベールにおける「自己を問うこととしての自己を理解すること」」(『宗教学研究室紀要』)。
八重樫徹(やえがし・とおる) 1982年生。東京大学特任研究員。論文:「価値把握と感情」(『哲学雑誌』128巻800号),共訳書:フッサール『間主観性の現象学Ⅲ』(筑摩書房)。
本郷 均(ほんごう・ひとし) 1959年生。東京電機大学教授。論文:「中間領域の創造性について」(『研究紀要』),共訳書:ディディエ・フランク『現象学を超えて』(萌書房)。
鶴岡賀雄(つるおか・よしお) 1952年生。東京大学教授。著書:『十字架のヨハネ研究』(創文社),共編著:『スピリチュアリティの宗教史』(リトン),共訳書:エリアーデ『世界宗教史』(筑摩書房)。
古荘匡義(ふるそう・ただよし) 1980年生。龍谷大学専任講師。共著書:『宗教を開く』(聖公会出版),論文:「反復と同時代性──ミシェル・アンリの大学教育論」(『哲學論集』61号)。
池田 喬(いけだ・たかし) 1977年生。明治大学准教授。著書:『ハイデガー 存在と行為──『存在と時間』の解釈と展開』,共訳書:ハイデッガー『現象学の根本問題』(以上,創文社)。
佐藤香織(さとう・かおり) 1978年生。首都大学東京ほか講師。共著:『哲学の立ち位置』(東信堂),『悪と暴力の倫理学』(ナカニシヤ出版),論文:「「繁殖性」と「無限の時間」」(『人文学報』511号)。
1 なぜ「新しい普遍」を語るのか──「共有する普遍」と「コミュニケーション的普遍」
2 「新天下主義」の内部秩序と「複合国家論」
3 「新天下主義」の外部秩序と東アジア分断体制論
4 おわりに──核心現場から新しい普遍を
第一部 東アジア論
第一章 核心現場に見いだす東アジア共生への道
1 「沖縄帰属論争」再燃の意味
2 核心現場とは
3 核心現場と主権の再構成
4 核心現場における自治権の拡大
5 東アジアの共生の条件
第二章 連動する東アジア、問題として朝鮮半島──言説と連帯運動の二〇年
1 なぜ今も東アジアなのか
2 東アジア論の知的系譜と新しい状況
3 東アジアの範囲と東アジア共同体という問題
4 東アジア論と分断体制が出会う三つの層位
5 複合国家という媒介項と現場のネットワーク
第三章 東アジア論と近代適応・近代克服の二重課題
1 韓国発東アジア論を振り返る
2 竹内好の「近代の超克」論からすくいだせるもの
3 東アジア共同体──中短期的効果と長期的展望
4 分断された朝鮮半島における複合国家論
第四章 平和に対する想像力の条件と限界──東アジア共同体論の省察
1 東アジア的文脈における平和とは
2 中国の和平屈起と東アジア共同体
3 「普通の国」日本と東アジア共同体論
4 「東北アジア時代」韓国の平和への道
5 戦略的知性の結集と「実感としての東アジア」
第二部 中国︲韓国︲台湾
第五章 中華帝国論の東アジアにおける意味──批判的中国研究の模索
1 なぜ「帝国としての中国」か?
2 帝国言説の批判的検討(一)──朝貢体制再考
3 帝国言説の批判的検討(二)──文明国家論と天下観の現在的機能
4 周辺から模索される主権の再構成と帝国言説
5 「帝国」論と「複合国家」論の(非対称的)対話
第六章 変わるものと変わらないもの──韓中関係の過去、現在、未来
1 中国は私たちの運命なのか?
2 韓中関係を規定する歴史的条件
3 朝貢秩序は復活するのか
4 文化大国論と新天下主義
5 周辺の視座、互いを映す鏡
第七章 私たちにとって台湾とは何か──韓国︲台湾関係を問い直す
1 私が「発見」した台湾
2 韓国人の歴史経験のなかの台湾──媒介された出会いと直接向き合うこと
3 台湾人のアイデンティティを理解するうえで必要な問い
4 韓国︲台湾関係の未来を描く
5 戦略的知性の結集と「実感としての東アジア」
第三部 社会人文学と批判的学問
第八章 社会人文学の地平を開く──その出発点としての「公共性の歴史学」
1 問題提起──なぜ社会人文学なのか
2 「危機の人文学」の代案
3 人文精神と社会人文学の構想
4 社会人文学と「公共性の歴史学」
第九章 共感と批評の歴史学──東アジアの歴史和解のための提言
1 「良い歴史学」と公共性の歴史学
2 共感を通じた歴史和解
3 共感の歴史の事例を検討する──加藤陽子の著書を中心に
4 「批評としての歴史学」の諸特徴
第十章 地球地域学としての韓国学の(不)可能性──東アジアの歴史和解のための提言
1 はじめに
2 内外から見た韓国学のアイデンティティ
3 地球地域学としての韓国学
4 地球地域学の兆候──地球的思考と地域的実践の事例
5 結び
第十一章 「東洋史学」の誕生と衰退──東アジアにおける学術制度の伝播と変形
序
2 日本帝国大学で創設された「東洋史学」と民間史学
3 植民地朝鮮の東洋史学と朝鮮学運動
4 中国の新史学の科学化・制度化
結論──東洋史学を越えて
補論
第十二章 韓国における中国学の軌跡と批判的中国研究
1 問題の所在
2 北学、支那学、そして漢学
3 解放以後の中国学の軌跡と主な特徴──人文学分野
4 結び──批判的中国研究の課題
解説と対話
白永瑞──同時代の証言者
1 経歴
2 主要業績
3 本書の問題意識と概要
4 同時代の証言者との対話
監訳者あとがき
初出一覧
人名索引 「核心現場」とは、沖縄、朝鮮半島、台湾のように歴史的矛盾が凝縮された「分断」の場所であるとともに構造的差別において苦しみのあるすべての現場を指す。東アジアの分断構造を解体し、和解を導くために、「共感と批評としての歴史学」を、さらには既存の学術制度を超える「社会人文学」を提唱する。相互憎悪を超えて、そこに生きる人々の苦しみを受けとめ、人文学という学問領域も刷新し、あらゆる現場で実践的な共生への道を提示する。
主な業績は,『日本の不安を読む』教養人,2010年,『日本・戦後の崩壊──サブカルチャー・消費社会・世代』J&C,2013年。共編著に『アジアの市民社会──概念と歴史』アルケ,2005年,『戦後の誕生──日本,朝鮮という境界』グリーンビー,2013年(いずれもハングル)。日本語論文に,「集団の記憶,個人の記憶──韓国とヒロシマがお互いに問いかけるもの」『現代思想』31(10),2003年,「日韓関係と「連帯」の問題」『現代思想』33(6),2005年,「「平和憲法体制」とアジア──韓国との関連で」『季論21』1号,2008年,「「唯一の被爆国」という言葉と日本の「戦後」」『歴史学研究』917号,2014年ほか多数。 1980年千葉生まれ。明治学院大学法学部卒,一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程修了,博士(社会学)。立命館大学コリア研究センター専任研究員を経て,現在明治学院大学教養教育センター准教授。専攻は朝鮮近現代史・在日朝鮮人史。
著書に,『忘却のための「和解」『帝国の慰安婦』と日本の責任』世織書房,2016年,『朝鮮独立への隘路 在日朝鮮人の解放五年史』法政大学出版局,2013年,共訳書に金東椿『朝鮮戦争の社会史 避難・占領・虐殺』平凡社,2008年,論文に「解放直後の在日朝鮮人運動と「戦争責任」論(1945-1949) 戦犯裁判と「親日派」処罰をめぐって」『日本植民地研究』第28号,2016年ほか多数。 法政大学出版局 ホウセイダイガクシュッパンキョク はしがき
第一章 歴史と安保は分離可能なのか
韓日関係の非対称性
第二章 捨象の思想化という方法
丸山眞男と朝鮮
第三章 善隣学生会館と日中関係
国民国家の論理と陣営の論理
第四章 国境内で「脱/国境」を想像する方法
日本のベトナム反戦運動と脱営兵士
第五章 団塊の世代の「反乱」とメディアとしての漫画
『あしたのジョー』を中心に
第六章 広島の「平和」を再考する
主体の復元と「唯一の被爆国」の論理
第七章 二つのアトミック・サンシャイン
被爆国日本はいかにして原発大国となったか
訳者あとがき 「唯一の被爆国」として日本は戦後70年ものあいだ平和を守ってきたとされるが、ほんとうにそうなのだろうか。朝鮮戦争、ベトナム反戦運動、日米安保や原発の問題などを取り上げ、アジア諸国や国内における他者と関わるうえで丸山眞男をはじめ日本人が何と向き合ってこなかったのか、韓国人研究者が考察する。【日本現代史・日本思想】
1947年、ボストン近郊に生まれる。オバーリン・カレッジからイェール大学に進み、1977年、ポール・ド・マン(1919-1983年)のもとでPh. D.を取得(フランス語・フランス文学)。イェール大学でフランス文学・比較文学を講じた後、ハーヴァード大学に移り、2009年に亡くなるまで教授を務める。ディコンストラクション批評をリードした「イェール学派」の第二世代を代表する研究者の一人。邦訳されている著書には、本書のほか、『詩的言語の脱構築――第二ボードレール革命』(原著1979年/土田知則訳、水声社、1997年)、『差異の世界――脱構築・ディスクール・女性』(原著1987年/大橋洋一・青山恵子・利根川真紀訳、紀伊國屋書店、1990年)がある。 1956年、長野県に生まれる。1987年、東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。現在、千葉大学文学部教授。専門はフランス文学・文学理論。著書に、『現代文学理論――テクスト・読み・世界』(共著、新曜社、1996年)、『間テクスト性の戦略』(夏目書房、2000年)、『文学理論のプラクティス――物語・アイデンティティ・越境』(共著、新曜社、2001年)、『ポール・ド・マン――言語の不可能性、倫理の可能性』(岩波書店、2012年)ほか、訳書に、ショシャナ・フェルマン『狂気と文学的事象』(水声社、1993年)、マーティン・マックィラン『ポール・ド・マンの思想』(新曜社、2002年)、ジャック・デリダ『そのたびごとにただ一つ、世界の終焉』(全二冊、共訳、岩波書店、2006年)、ポール・ド・マン『読むことのアレゴリー――ルソー、ニーチェ、リルケ、プルーストにおける比喩的言語』(岩波書店、2012年)ほかがある。 法政大学出版局 ホウセイダイガクシュッパンキョク 凡 例
緒 言
第一部 セクシュアリティと差異
1 批評的差異――バルト/バルザック
2 アレゴリーのトリップ゠ティーズ――「白い睡蓮」
第二部 詩と差異
3 詩とその分身――二つの「旅への誘い」
4 詩と行為遂行的言語――マラルメとオースティン
5 詩と統辞法――ジプシー娘の知ったこと
第三部 行為の中の差異
6 メルヴィルの拳――『ビリー・バッド』の処刑
7 参照の枠組み――ポー、ラカン、デリダ
訳者あとがき
人名索引 脱構築批評の最も魅力的な実践として名高いバーバラ・ジョンソン(1947-2009年)の代表作が、30年の時を越えて待望の完訳! バルト、マラルメ、デリダなどの難解な著作を扱いながら、明晰にしてスリリングな思考が躍動する本書は、イェール学派が生んだ若き知性にのみ達成しえた輝きに満ちている。ジョンソンの師であるポール・ド・マン研究の第一人者による達意の訳文によって、世界に衝撃を与えた書物がついに全貌をあらわす。
「週刊読書人」(2016年7月22日号、2016年上半期の収穫から)にて、小局の書籍が紹介されました。
■星名宏修著『植民地を読む』……関智英氏・評
木下千花著『溝口健二論』が、「出版ニュース」(2016年7月7月下旬号)にて紹介されました。
ご好評いただいております《ものと人間の文化史》テーマフェアの第5弾。店頭におけるミニフェアとしてご展開ください!
20160701_もの人間_海の幸(PDF)